東京パラリンピックのシッティングバレー女子日本代表・西家道代(54)は立位のバレーボール歴25年以上のベテランだ。AERA2019年9月16日号のインタビューを紹介する(肩書、年齢は当時)。
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ボンッ。激しいサーブの打音が聞こえた次の瞬間にはもうレシーブが上がっている。展開の速さに目がついていかない。
座ってプレーするシッティングバレーを障害者のバレーと侮ってはいけない。立位の6人制バレーと比べてコートの面積は3分の1ほどのため、ボールが飛んでくるまでの時間がとても短く、迫力とスピード感のあるラリーが見ものだ。立位だったら落としてしまう床面近くのボールも拾われ、息詰まる攻防が続く。
女子日本代表を主将として率いる西家道代は、立位で25年以上バレー経験があり、ボールの方向を瞬時に見極める判断力に優れる。仲間への声掛けのタイミングも絶妙だ。けがを機に10回の手術、5年半にわたる病院生活を経て、シッティングバレーと出合うと、わずか6回の練習で日本代表入りした。真野嘉久監督は、
「初めてプレーを見たとき、ボールへの反応が速く、バレーボールのセンスを感じた」
ただ、立位から座位への対応は難しかった。お尻を床につけたままだと思うように動けない。さらに西家は、靱帯を断裂した左ひざの保護のため、競技中は硬いカバーを装着する。多くの選手がプレー中は義足を外して身軽になる中で、より重くなった動かない左足。助言をもらおうにも同じ障害の選手もいない。試行錯誤した末、構えの姿勢のときに曲げた右足をできるだけ自分の体に引きつけ、踏み出しを大きくするなど素早く動ける方法を見つけた。
けがをする前からの仲間もシッティングバレーを始め、一緒にボールを追う日々だ。
「何度も絶望を味わったけどバレーが救ってくれた。みんながいてくれるから私は強くなれる」
(編集部・深澤友紀)
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■シッティングバレー
座ってプレーする6人制バレーボール。ボールは一般のバレーと同じだが、コートは半分以下。ネットの高さは男子が115センチ、女子は105センチ。1セット25点制で、先に3セット取ったチームが勝つ。障害の重さで2クラスに分かれ、軽いクラスの選手は6人中1人しかプレーできない。国内では健常者のみで編成されたチームが出場できる大会もあり、障害の有無に関係なく一緒に楽しめる。
※AERA2019年9月16日号に掲載