主演を務める映画「破戒」が全国公開中の間宮祥太朗さん。作家・林真理子さんとの対談では、今作について語ってくれました。
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林:はじめまして。すごくカッコいいジャケットですね。映画(「破戒」公開中)とぜんぜん雰囲気が違いますよ。私、丑松さん(間宮さんが演じる主人公)のイメージが固まってたので、別の人があらわれたような感じがして、ちょっと戸惑ってしまいました。
間宮:アハハハ。
林:丑松さん、明治の青年の静謐(せいひつ)さが全編に漂っていて、こんなに絣(かすり)の着物と袴が似合う若い男性、ほかにいないんじゃないかと思って見てましたよ。
間宮:よかった! うれしいです。
林:それにしても、ずいぶん難しい役に挑戦しましたね。被差別部落出身の青年役に果敢に挑戦なさって。
間宮:挑戦というか、自分はこのお話をいただいたときに、初めて原作(『破戒』島崎藤村)と脚本を読んだんですけど、いまこの令和の時代にあえて再度映画化する意義と制作陣の意気込みを感じましたし、自分の中で納得できる部分があったので、参加したいなと思いました。
林:私、最初「破戒」が映画化されると聞いたとき、黒川博行さんが書くような、いわゆる反社的な小説が映画化されるんだと思ったら、100年以上前の島崎藤村のあの『破戒』のことだったのでびっくりしました。全国水平社(部落解放運動団体。部落解放同盟の前身)の創立100周年ということで、映画化は意義があることだと思います。ちなみに、私が理事長をしている日本文藝家協会も4年後に100周年を迎えるので、いま映画化に向けて動いてるんですよ。100周年を迎えるものってけっこうあるんです。
間宮:(手元に置かれた「週刊朝日」の表紙を見て)ここにも「創刊100周年」って書いてありますね。すごいな。
林:100年前というと、大正デモクラシーのころで、いろんなものが動き始めた時代ですよね。70年ぐらい前、『破戒』が最初に映画化されたとき(1948年・木下惠介監督)、丑松役は池部良さんだったと思いますけど、それはDVDでごらんになったんですか。