1964年10月10日。アジア初のオリンピックが、東京・国立競技場で開幕した。人々は家庭に普及し始めたカラーテレビにかじりつき、日本中が熱狂した。あれから約60年。東京に再び、五輪が帰ってくる。見る者の心を震わせた伝説の選手を振り返りつつ、今大会注目のホープをご紹介しよう。あの感動を、もう一度。
* * *
【バレーボール】
回転レシーブや変化球サーブを武器に優勝を果たした日本女子代表は、世界から「東洋の魔女」と恐れられた。強敵ソ連を下した決勝の平均視聴率は66.8%。スポーツ中継で歴代1位の数字だ。
今大会のエースは、黒後愛。4大会連続で五輪に出場した元エース、木村沙織と出身高校や実業団が同じで、「ポスト木村」と期待される。
【体操】
チェコスロバキア(現チェコ)のベラ・チャスラフスカは、個人総合、平均台、跳馬で金メダルに輝いた。その美貌や華麗な演技から「東京の恋人」と呼ばれるほどの人気を誇った。
現在の体操界のレジェンドは内村航平。ロンドン、リオデジャネイロ両五輪の個人総合で連覇した。今大会は鉄棒に絞り、金メダルを狙う。
【重量挙げ】
三宅義信がフェザー級で397.5キロの世界新記録をマークし、日本に64年五輪の金メダル第1号をもたらした。身長160センチに届かず、「小さな巨人」の異名をとる。
めいの三宅宏実は、5連続の五輪出場だ。前々回は銀、前回は銅メダルを獲得。今大会限りの引退を宣言している。