と。あたしもその通りだと思う。これは憲法違反ではないか。性風俗の仕事をしている人たちも税金を納めている。国の財源が足りないことは、定められたルールを犯す理由にはならない。
自分はその仕事についてないからと、こういったことを許してはいけない。財源が足りないから労働力にならない老人は切り捨てろとか、外国人技能実習生は最低賃金に満たない安価で使っていいとか、貧乏人の子として生まれたら諦(あきら)めろとか、この国の状態が厳しくなればなるほど、差別や排除が広がってしまう。ここで黙っていたら、いずれ自分や自分の家族にも刃が向けられる。みんなはそれでいいのだろうか? あたしは嫌だ。
室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中
※週刊朝日 2022年7月22日号