わずか2年前のことなのに、学生がひしめくように集まってブースを見つめる就活の光景が懐かしく感じられる/2019年3月撮影(c)朝日新聞社
わずか2年前のことなのに、学生がひしめくように集まってブースを見つめる就活の光景が懐かしく感じられる/2019年3月撮影(c)朝日新聞社

 なお、就職者数は学生の申告を受けて大学がまとめているため、実際の入社人数と異なる場合がある。また、大学ごとの卒業者数は大きく異なるため、比較の際は注意が必要だ。

 内定率が底を打った11年卒と直近の2年を比較することで、「売り手市場」の10年間で学生の志望業界や企業のターゲット大学の変遷が見てとれる。

10年で「金融離れ」加速

 たとえば、東京大学。

 11年卒では、三菱UFJ銀行に33人、みずほFGに27人が就職していた。だが、20年卒では三菱UFJ銀行は19人、みずほFGは10人と大きく減少。この「金融離れ」は東大に限らず、かつて大量の学生が進んでいた早慶などの私立大でも同様の傾向といえる。昨今のデジタル化や人員削減の影響が大きいと見られる。

 一方で、熱視線を集めているのがコンサル業界だ。

 アクセンチュアに就職した東大生は、20年卒で38人。11年卒は21人と銀行に押されていたが、追い抜いた。同じコンサルの野村総合研究所も24人から37人へと就職者数が増えている。

 コンサルへの関心が高まっているのは、東大生だけではない。アクセンチュア1社でみても、京都大では7人から30人、大阪大は3人から23人、慶應義塾大も34人から62人と増加傾向にあることがわかる。まさに「10年」で大きく変わった業界だ。

 大学通信の安田賢治常務はこう分析する。

「セカンドキャリアを見据える学生がここ数年で増加しています。企業や業界のノウハウを学べるコンサルは相性がいい。やりがいや自分の成長性を求める傾向が強まっているのではないでしょうか」

 就職者数が増加した業界にコンサルやIT企業が並ぶなか、異彩を放つ企業がある。

 23人→40人→34人。

 早稲田大からニトリへ就職した学生の推移だ。他大学を見ても、法政大で6人→14人→21人、関西学院大で5人→24人→31人と右肩上がり。スキルを身につけ早く成長したい学生にとって、ニトリの魅力はどこにあるのか。

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法政大「躍進」の理由