「今」を見つめるだけで精一杯のこの時代に、学生たちは将来を見据えて就活に励んでいる。だが、わずか10年で市場は大きく変わった。AERA 2021年7月12日号は、学生の志望業界や企業のターゲット大学を調査。2011年から20年の10年間における就活戦線の変遷を追った。
【27大学別一覧表】 10年で就職者数が「増えた」「減った」企業はここだ!
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たった数年の違いが、“鎧の価値”を大きく変えた。
関西の大学に通う女子学生は、2023年春の卒業に向けて、インターンへの応募を始めている。だが、選考は思うように進まない。
苦戦する女子学生を見て、大手IT企業に勤める兄が、こうこぼした。
「大変やなあ。俺が3年の夏は何もしてなかった」
その言葉を聞いて、19年卒の兄がいつの間にか就活を終えていたことを思い出した。女子学生は言う。
「兄とは同じ大学のランクですが、何もしないで大手に行けるほど簡単じゃないと思っています。4年でここまで状況が違うんだってびっくりしました」
大学生の就職内定率は、リーマン・ショックの影響を受けた11年卒の91%を底に、緩やかに上昇。東日本大震災の復興支援や東京オリンピック・パラリンピックの開催も景気を後押しし、20年卒には98%までになった。
ところが、新型コロナウイルスの影響で状況は一変した。
コロナ禍の就活に異変
就活解禁と新型コロナウイルスの流行が重なった21年卒の就活では、日本航空やANA、JTBなど学生の人気企業が相次いで採用を中止・縮小。最終的な内定率は96%に落ち着いたが、10年卒に次ぐ過去2番目の下落幅だった。
学生側がどの企業や業界に興味を抱くのか。逆に、企業側がどんな学生や大学に関心を示すのか。市場形成の指標の一つになる就活は単年での傾向を知るのも大切だが、長いスパンでの変化を見ることも重要だ。
アエラでは、大学通信の協力を得て、全国27大学の11年卒から20年卒までの「10年」の就職者数を調査。対象となった企業は、日経225などの有名企業を中心とした400社。うち、就職者数の増減に変化が顕著に見られた企業を編集部で抽出し、11年と19年、20年の大学別就職者数を示した。