実際に到着時には、海外でワクチンを受けたかどうかの質問はなく、筆者も念の為にニューヨーク州が発行するデジタル版のワクチン接種証明書(いわゆるワクチン・パスポート)をダウンロードしてきたが、それを見せる機会は全くなかった。現在のところ世界共通のワクチン・パスポートのようなものはまだ存在しないが、例えばフランスやスペインなどは、CDC(米疾病対策センター)の発行するワクチン接種証明書を認めていて、ワクチン接種を完了したアメリカからの観光客などに対しては、隔離期間を設けずに受け入れ始めている。
筆者のような検疫強化対象国・地域からの入国者は、この後に政府の定める14日間の自主隔離の残り期間を自宅や別の滞在先で過ごすことになる。羽田空港からは各自解散となるが、この際には電車やバスなどの公共交通機関の使用は禁止されているので、家族の車やコロナ対策用の専用ハイヤーを使って移動しなければならない。
現在、筆者はまだ自主隔離期間中であるが、毎日3つのルティーンをこなしている。
1つ目は毎朝11時ごろに厚生労働省がメールで「37.5度以上の発熱があるか」、「せきや強いだるさ、息苦しさなどの症状があるか」など健康状態を確認するアンケートを送ってくるが、午後2時までに回答を提出すること。2つ目は、前述のOELから1日2回送られてくる通知を受け取った際に、アプリ内にあるボタンを押して現在位置を申告すること。そして3つ目は、入国者健康管理センターから1日1回テレビ電話がかかってきた際に、ビデオ機能をオンにして本人確認をすることである(電話がかかってくる頻度は、人によって違うようである)。
しかし、テレビ電話をかけてきた担当者に質問をすると「可能な範囲で」電話に応じることが出来ればいいとのことで、着信を逃すとこちらから電話をかけ直すことはできない。また、報道によると位置情報確認アプリの通知に返答を怠っている人が、1日平均で約4000人もいるという。