次世代の選手のために日本女子プロ野球リーグの再開を願う加藤さん(撮影/写真部・東川哲也)
次世代の選手のために日本女子プロ野球リーグの再開を願う加藤さん(撮影/写真部・東川哲也)

――女子プロ野球リーグも成功するためには、新しいチャレンジが必要ということですね。

 いきなり「プロ」にこだわらなくていいのかなとも思います。例えば、実業団を主体に構成されているようなソフトボールリーグの運営などを真似してみるのもいいと思います。まずは、そこからスタートして、ゆくゆくはプロリーグになれるように地道に頑張るというのが、いちばん現実的な方法かもしれません。あとは、NPBの12球団ともっと絡ませてもらうなど、話題になるような企画するのも面白いと思います。今は、西武ライオンズや阪神タイガースにも女子野球チームが誕生しましたし、そういったチームと積極的に交流し、知名度を少しずつ広げていく活動も必要でしょう。そして賛同してくれる企業をもっと増やしていく。これまで女子プロ野球リーグは、「わかさ生活」の1社だけで運営していたので、それだけでは長く続けていくのは難しい。欲をいえば、NPB12球団がそれぞれ女子野球チームを作ってくれて、一緒に協力していくのがベストです。

――女子プロ野球リーグが中止のままだと、次世代の選手への影響も大きいですよね?

 やはり女子プロ野球を目標に、日々の練習を頑張っている選手はとても多いので、それが無くなりかけているという状況は、かなり深刻です。目標を見失った選手もいますし、「何を目指せばいいですか?」と聞かれるたびに、私も心が苦しくなります。このままでは女子野球そのものがどんどん衰退してしまうので、早急に何とかしてほしいなと願っています。「女子プロ野球はやはり成功できなかった」、そんな単純な言葉で、このまま終わらせてほしくありません。改善の余地はまだまだあるし、絶対良くなると私は信じています。諦めずに、ぜひ、もう一度チャンレンジしてほしいですね

(聞き手・構成/AERA dot.編集部・岡本直也)

加藤優(かとう・ゆう)/1995年5月15日、神奈川県生まれ。父親の影響で5歳から野球を始める。高校時代から企業チーム「アサヒトラスト」に所属し、女子野球日本代表候補に選出される。2016年に女子プロ野球選手として「埼玉アストライア」に入団。2019年にベストナイン受賞。同年11月に退団。現在は「GOODJOB女子硬式野球部」に所属し、横浜DeNAべスターズのスクールコーチ、またTVバラエティやCM、YouTube出演など多岐に渡る活動をしている。