写真はイメージ(GettyImages)
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 医療用麻薬による依存症が増えている。がん患者を中心に、痛み止めとして一回に数百錠を処方されている患者もいるという。医師が処方するからといって安全とは限らない。医療用麻薬に関する知識が不十分な医師も少なくないのだ。今、日本でも深刻な問題となりつつある医療用麻薬の大量使用について、獨協医科大学医学部麻酔科学講座の山口重樹教授に聞いた。(医療ジャーナリスト・木原洋美)

■現場医師が警鐘! 医療用麻薬の大量使用が増えている

「医療用麻薬の大量使用(不適切使用)患者さん増えてきたな~。特に20~40歳台の若い人。(医療用麻薬を大量に使用すると)ボーとして、もともと賢い人、才能ある人も、(本来の)パフォーマンスを発揮できない。本日も、御本人も効果あるのかどうか、わからないけど、不安で(服薬を)継続しているというインテリジェンス高い人が来院。氷山の一角かも」(原文ママ。( )内は筆者)

 2021年1月初旬、関西の大学病院で慢性疼痛を専門に診ているペインクリニックの医師は、自身のSNSでこう警鐘を鳴らした。

 医療用麻薬とは、法律で医療用に使用が許可されている麻薬で、一般にはオピオイド鎮痛薬(以下オピオイド)と呼ばれる。日本ではモルヒネがよく知られており、アメリカではオキシコドンという鎮痛薬が入り口となって、依存症者が急増した。19年には全米で7万2000人が薬物の過剰摂取で亡くなっているが、多くはオピオイドによるものだった。17年にはトランプ大統領も「オピオイドクライシス(危機)」として、公衆衛生上の法に基づく国家非常事態宣言を行った。

 オキシコドンの名は15年に、トヨタの元役員が国際宅配便の小包に同薬剤を入れて輸入した疑いで逮捕された事件があったので、ご存じの方は多いかもしれない。あの事件からはオピオイドが、地位も見識もあるセレブが当たり前のように常用するほど、当時のアメリカで普通に使用されている痛み止めだったことが推察できる。

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「薬が切れるのが心配でたまらない」