テロは続く

 伊藤の死の後にも、1921年に原敬首相が東京駅で刺殺、1930年浜口雄幸首相が東京駅で撃たれ、のちに死去。1932年には犬養毅首相が五・一五事件で海軍将校に射殺、1936年の二・二六事件では斎藤実元首相、高橋是清蔵相(元首相)が反乱部隊に射殺されるといった悲劇が続いている。

 古くはジュリアス・シーザーや源実朝、リンカーン大統領など、古来、君主や権力者に対する暗殺は数多いが、それで世の中がよくなったということはない。悪役とされる蘇我入鹿や井伊直弼にしても、政敵による同時代の悪宣伝以外の史実を虚心坦懐に読むと功罪半ばであり、暗殺で政治が変わったわけではない。

 20世紀後半以降もケネディ米国大統領やガンジー印首相(さらに彼女のご子息も)、サダトエジプト大統領といった英明な政治家が暗殺の憂き目にあっている。こういったテロ行為は決して許してはならないし、これを行わせないような危機管理体制が平和ボケした日本にも必要であろう。

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