桜の開花に続き、そろそろ春の星座が見頃を迎えます。気温が上がり、屋外での観測が快適になる一方、この季節ならではの空の霞が気になりますね。

そこで今回は、「春の大曲線」「春の大三角」についてご紹介します。見つけやすい「北斗七星」を目印に、星空観測を楽しみましょう。

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全天88星座中、ベスト3の大きさ!春の星座はスケール感あり

空が霞んで暗い星が見えにくくなる春の夜空。そのなかで目を引くのが、北の空に輝く7つの星「北斗七星」です。「斗」とは「ひしゃく」のことで、「ひしゃく星」とも呼ばれていますね。

北斗七星は「おおぐま座」の一部を構成しており、の背中からしっぽにあたる部分にあります。おおぐま座の近くには「こぐま座」があり、その形は小さくした北斗七星に似ており、「小北斗」と呼ばれることも。ギリシア神話では、おおぐまが母親、こぐまが息子にあたる物語が伝えられています。

おおぐま座は全天で88個ある星座のなかで3番目に大きく、北の空高くに位置する春を代表する星座。1番大きなうみへび座、2番目のおとめ座もこの時期の星座で、春はサイズの大きな星座が多いのが特徴です。ダイナミックな反面、星がまばらに見え、1等星も少ないため、星座や星がわかりにくいかもしれません。まずは北斗七星を目印にして、「春の大曲線」「春の大三角」「北極星」を探してみましょう。

かたちが逆!?にならない、北斗七星を観測するコツ

北の空から見る北斗七星は、ひしゃくが下を向いた上下が逆のかたち。逆さまにならずに見る方法は、南に向いて立つこと。真上の夜空を反り気味に眺めると、北斗七星は頭の上の高いところに見えます。3月下旬は23時頃にほぼ真上に位置しているでしょう。

ひしゃくの柄のカーブを南に伸ばした曲線が「春の大曲線」で、うしかい座の1等星でオレンジ色の「アルクトゥールス」、おとめ座の1等星で白い星「スピカ」を見つけてみましょう。さらに伸ばすと、4つの星が台形に並んでいる「からす座」も見つかります。

次に西に目を向けて、「アルクトゥールス」と「スピカ」と正三角形をつくる2等星「デネボラ」を探してみましょう。これが「春の大三角」です。デネボラは「しし座」の尻尾で、さらに西を見ると胸にあたる部分の1等星「レグルス」が輝いています。そこから上に伸びた「?」を逆にしたような星の並びが、しし座の頭にあたります。

レグルスから南の方に目を移すと、「うみへび座」の心臓にあたるオレンジ色の2等星「アルファルド」があります。南の低空を東西に長く伸びる巨大なうみへび座の背中には、コップ座やからす座が乗っているように見え、ちょっとユーモラス。星座のかたちが見えてくると、春の星空の広大なスケールに圧倒されることでしょう。

一年中沈まない星、「周極星」とは

北斗七星の柄に接するひしゃくの縦に並ぶ2つの星を、口が開いた方向に約5倍伸ばすと「北極星」に辿り着きます。一年を通して北の空に位置し、ほとんど動かない星です。地球の地軸を延長したところに北極星が位置しているため、北半球では夜空にあるすべての星は北極星を中心にまわっているように見えるのです。

天球の星々は、地球の地軸を中心に西周りに回転しています。 地球は1日に1回東周りに自転しており、この動きを地球上から見ると天球が1日に1回西周りに回転しているように見えます。こうした星々の動きを日周運動といい、天の北極(南半球の場合は天の南極)の周りを巡って沈まない星を「周極星」と呼びます。

北極星、北斗七星は、一年中見えている周極星にあたり、昔から正確な方角を知る手掛かりとされてきました。「真北」に位置する北極星を特定するための目印とされたのが、見つけやすい北斗七星でした。

春の夜空は、あらためて北斗七星に注目してみましょう。見慣れたかたちの周囲に広がる、大きい星座ベスト3を構成するダイナミックな星々の輝きを楽しみましょう。

参考文献

『アストロガイド 星空年鑑 2021』 アストロアーツ

参考サイト

アストロアーツ 春の星空を楽しもう