首位を独走するヤクルト。その原動力になっているのが4番の村上宗隆だ。
セリーグのスコアラーはその凄みについて、こう語る。
「7月に入って当たりが止まっているが、打席の内容は紙一重です。微調整すれば打ち続けるでしょう。村上は懐が深く、体の軸がブレない。左打者で逆方向にも本塁打を飛ばせる打撃技術は球史に名を残す高水準だと思います。打席での威圧感は松井秀喜(元巨人)を彷彿とさせます。変化球は巧く拾われるので、150キロを超える高めの直球で押し込んでいった方が打ち取れる可能性が高い。ただ、1打席目で抑えた球を2打席目以降はきっちり打つので同じ配球では抑えられません。村上をどう抑えるかより、村上の前に走者を出さないことが重要になる。走者がない場面だったら四球でもいいぐらいの割り切りが必要です」
6月の月間成績は23試合出場で打率.410、14本塁打、35打点と驚異的な数字をマーク。交流戦で殊勲打を打ち続けてMVPに選ばれるなど、パリーグの全球団に勝ち越しての「完全優勝」に大きく貢献した。得点圏打率.458で出塁率.515と合わせたOPSはリーグ断トツの1.455。シーズントータルでも打率.307、29本塁打、79打点で、本塁打は8本差、打点は17点差と2位の巨人・岡本和真に大差をつけて独走している。首位打者も狙える位置につけ、「令和初の三冠王」が視野に入ってきた。
20、21年と2年連続本塁打、打点の2冠に輝いた岡本は打率.255、21本塁打、62打点。決して悪い数字ではない。5月29日の日本ハム戦で通算150本塁打をマーク。634試合出場での達成は巨人の日本人選手で1986年原辰徳(現監督)の645試合を抜いて最速記録だ。「チャンスに弱い」という指摘もあるが、得点圏打率.313と高い。ただ、このペースだと史上3人目の3年連続本塁打、打点の2冠獲得は厳しい。