では、現代は? 日本人女性の初産年齢の平均は30歳を少しオーバーし、子どもの数は1人か2人。子どもを持たない選択をする女性も増えています。つまり、人生の大半を「毎月、生理がある」状態で過ごします。かつては一生のうち50回という人もめずらしくなかった生理が、いまは450~500回(*1)、10倍近くになる計算です。
●出産経験の有無を気にするより、ピルの服用を!
こんなに違うのですから、心身への影響も同じではありません。子宮内が血液にさらされるほど、子宮内膜症、子宮筋腫など病気になるリスクは高まります。理屈としては、生理の回数が少ないほどリスクが下がることになるので「出産経験があれば」といわれるのでしょう。しかし、現代では、よほどの子だくさんでなければ、人生通算の生理回数が15~30回減るだけなので、そこまで差はありません。
まして、生理の回数を減らすために子だくさんになるわけにもいかないですよね! 妊娠、出産も授乳も、病気予防のための手段ではありません。生理を止め卵巣と子宮を休ませるためには、ピルを服用すればいいのです。
ピルについて「自然じゃない」「昔の女性はそんなもの必要なかった」という人たちがいますが、こうして無駄な排卵と生理をやめ、卵巣と子宮を休ませるほうが、よほど”昔の女性”に近い状態になるのです。
(*1)Definition of the problem: The evolution of human reproduction Short RV. Proc. R. Soc. Lond. B. Biol. Sci. 195 (1118)3-24, 1976