命の危険を感じさせる酷暑の夏が続いており、エアコンは手放せない。その一方で、今年は新型コロナウイルスの流行を防ぐために、こまめな換気が叫ばれている。暑さをしのぎつつ、換気をする方法はあるのだろうか。(清談社 真島加代)
■54.4%の人が知らない事実 ほとんどのエアコンにない機能とは?
夏を快適に過ごす必須アイテム、エアコン。エアコンで部屋を冷やすには、なるべく窓やドアを閉めて換気をしないのが通説だが、2020年の夏は勝手が違う。
「今年は新型コロナウイルスの感染を防ぐためにも、こまめな換気が必要といわれています。ただ、窓を開けているだけでは涼しくならないですし、熱中症のリスクもあるので、エアコンを使いながら換気をする必要がありますね」
そう話すのは、ダイキン工業の広報・野呂朋未氏。今夏は、熱中症を防ぎながらも室内の空気を入れ替える工夫が必須。そのためにも、まずはエアコンに対する、1つの誤解を解かなければならない。
「『エアコンには換気もできる』というイメージを持つ人もいるかもしれませんが、ほとんどのエアコンは換気機能を搭載していません。エアコンは、室内の空気を吸い込んで冷やしたり温めたりする冷暖房機器なので、部屋の空気を循環させているだけで、室外の空気と入れ替えるものではないんです」
ダイキンが実施した調査(※)でも、54.4%の人がエアコンでは換気できないことを「知らなかった」と回答しているそう。冷風が出ていると清々しさを感じるが、空気が入れ替わっているわけではないのだ。
(※)「コロナ禍における『換気に対する実態調査』」/2020年4月24~26日/全国の男女500名
■換気は30分に1回が理想 2つの窓を開けるのが基本
そして、野呂氏は「換気の回数は多ければ多いほどいい」と話す。
「一般的な目安は最低1時間に1回、5~10分間の換気です。理想は30分に1回、5分間の換気ですが、夜眠っている間や外出中は窓を開けられないので、起床時と家を出る前、そして帰宅後も空気を入れ替えましょう」
30分に1回は少し大変かもしれないが、感染リスクを下げるためにも、こまめな換気は心がけたい。そして「短時間で効率よく換気をするにはコツがある」と野呂氏。
「空気を入れ替えるには外気を入れるだけでなく、こもった空気を排出しなければならないので、2つの窓を開放して空気の通り道をつくりましょう。なるべく遠くに位置している対角線上にある窓を2つ開けておくと、より効率的に換気できます。さらに、窓の外に向けて扇風機やサーキュレーターを設置すれば、より早く室内の空気を外に逃がせます」※【図1】