突然ですが、クイズです。皆さんの目の前におにぎりが1個あるとします。具材は鮭、梅、昆布、ツナマヨのどれかですが、外からはまったく見えません。さて、このおにぎりの具が何かを調べる方法は......?
 この問題、すぐにいくつかの方法を思いつく人もいれば、まったく何も出てこない人もいるでしょう。ここで必要になってくるのは「考えること」。けれど、ただやみくもに考えていても、時間だけが過ぎて答えにたどり着けないことも多いものです。
 そこで『パン屋ではおにぎりを売れ 想像以上の答えが見つかる思考法』の著者・柿内尚文さんは「考える技術」が必要だと言います。「考える技術」とは、目的を達成するための思考法のこと。私たちはこの武器を磨くことで問題を解決できたり、新しい価値を生み出すことができたりすると柿内さんは述べています。
 では、具体的にはどうやって「考える技術」を身につければよいのでしょうか?
 まず、本書には「考えるとは『広げること』と『深めること』である」(本書より)ということが大前提として出てきます。「広げる」とは可能性を考えていくことであり、「深める」とは本質的価値を考えていくことだそうです。
 これを踏まえたうえで、実践的な思考法について学べるのが、第3章の「『考える技術』を思い通りに使いこなす」です。
 たとえば「考え方を広げる方法」のひとつとして紹介されているのが「ずらす法」。これは、すでに存在するものに「価値の再定義」をすることで新しい価値を生み出すという手法です。
 本書の冒頭には、こんな問題が出てきます。「男子校に通う高校生の男の子がいます。彼は女の子にモテません。彼の望みは、たくさんの女の子と友だちになること。どうしたら彼は女の子の友だちをつくることができるでしょうか?」。
 この答えとして柿内さんは「文化祭の研究課題という名目で『女子校研究会』を立ち上げ、その研究という『大義名分(言い訳)』を武器に、街頭で女子高生にアンケートを実施し、声をかけ、何人もの女の子と友だちになれた」と書いています。
 実はこれは柿内さんの実体験だそうで、これも「ずらし法」を使ったもの。「自分自身驚いたのは、たくさんの女友だちができたことよりも、考えたアイデアが自分の悩みを解決してくれたことでした」(本書より)と記しています。
 ほかにも考えを広げる方法として「かけあわせ法」や「数珠つなぎ連想法」、考え方を深める方法として「360度分解法」「ポジティブ価値化」「キャッチコピー法」などを紹介。これまで数々のベストセラーを生み出してきた柿内さんが、自ら体得してきた「考える技術」を惜しげもなく教えてくれています。
 「考える技術」は仕事で使うものだと思う方もいるかもしれませんが、それ以外にも恋愛、お金、家族など、いろいろなことに活用可能です。また、発想の転換という意味で考えれば、落ち込みにくくなったり、物事に対してポジティブになれたりするなどの効果も。このスキルを磨いて損になることはないと言えるでしょう。
 まずは皆さんもご一読を。そのうえでふたたび冒頭のおにぎりのクイズに挑戦してみてください。もしかしたら頭の中にすんなりと答えが思い浮かんでくるかも?