各大学が主催する趣向を凝らしたコンテストの数々。高校生と大学との接点となり、中には入試に直結するものもある。「大学」特集のAERA 2022年7月11日号の記事から。
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大学への入学希望者総数が定員総数を下回る「大学全入時代」が訪れるといわれる昨今、意欲的な学生を確保したいという思いはどの大学も同じ。受験生の潜在能力を発揮しながら、優秀な学生と接点を持とうと取り組む大学は少なくない。
関西学院大学では、国際的な活躍を目指す受験生を対象にした「グローバル入学試験」を取り入れている。その受験資格の一つに、大学が主催する「関西学院世界市民明石塾」の受講がある。
3日間のプログラムでは、ワークショップやディベートなどを実施。講義は英語と日本語のハイブリッドで行われ、「英検準1級相当以上」の語学力が望ましいとの規定も。参加費として1万円が必要になるが、30人の定員に対して、2倍近い受講希望者が出る年もあるという。
明石塾の参加を経て、入試に挑戦する生徒も多い。同大入試課担当者はこう説明する。
「高大接続の一環として16年度から開催しています。多い年度では、10人超の受験生からグローバル入学試験への出願があります」
上位者は1次選考免除
慶應義塾大学でも、総合政策学部や環境情報学部のAO入試を受ける際に、同大関連の「三田文学新人賞」や「福澤諭吉記念全国高等学校弁論大会」などで一定の成績を収めた受験生に1次選考を免除。中央大学でも、環境問題がテーマのコンテスト「高校生地球環境論文賞」(21年度に終了)の受賞者には、経済学部の高大接続入試の出願資格が与えられた。
入試のアドバンテージにはならないものの、受験生との接点づくりに工夫を凝らすのは、上智大学だ。
パソコン画面の向こうから、流暢な英語が聞こえてくる。ときに大胆に身振りを加え、表情を歪ませて訴えかける。上智大学が主催する全国高校生英語弁論大会「ジョン・ニッセル杯」のワンシーンだ。
「英語力はもちろん説得力や独自性など、とてもハイレベルな戦いです」