世界中のスラム街や犯罪多発地帯を渡り歩くジャーナリスト・丸山ゴンザレスが、取材先でメモした記録から気になったトピックを写真を交えて紹介する。
■服は脱いでもマスクは着用…
この連載で先週に配信した『客と嬢がフェイスガード着用で行為に 丸山ゴンザレスが聞いた風俗の現状』(7月2日配信)では読者から予想以上の反響があった。どうやらコロナ禍における「風俗産業と規制緩和」については注目度が高いようだ。今回はアメリカでの現状を取材してみた。
アメリカで代表的な性風俗といえば「ストリップ」だろう。現地在住の友人に話を聞くと、「営業を再開したというニュースは見ました」とのことだった。
私も調べると、アメリカ西部のコロラド州とワイオミング州の境付近にあるストリップ劇場が、新たなスタイルで営業を再開したというニュースがあった。「踊り子さんがマスク着用」という記事だった。
思わず、「ストリップでは踊り子たちの顔も見たいものではないのか?」という疑問が浮かんだ。再び友人に聞いてみる。
「踊り子さんたちがマスク着用でダンスしているみたいだけど、顔とか見られなくていいの?」
「大丈夫ですよ。アメリカ人は尻のほうが好きなんで」
もちろんこれに異論がある人はいるだろう。だが友人はこう続ける。
「カリフォルニアのビーチで運動している人たちなんか、尻を中心に下半身を鍛えていますから」
あくまで友人の個人的な見解ではあるが、そういう趣味嗜好の人が多いらしいことは以前から耳にしていた。
「でもプライベートダンスしてもらうときは顔も大事ですね」
アメリカのストリップには、「プライベートダンス」というシステムがある。別料金を支払うことで、一対一となる個室で、ダンスを披露したり密着したりしてくれるのだ。このようなサービスは密になりすぎるので、今後、提供されるかどうかはわからない。
今回取り上げたストリップクラブの踊り子たちのマスク着用がいつまで続くのかはわからない。
「正直、マスクして踊られても(アメリカだと)ギャグっぽくなりますよね」
友人がこう指摘する背景には、アメリカではこれまでマスクを着用する習慣がなかったことがあげられる。彼らにとって珍奇な光景に見えるのは仕方ないのだが、感染拡大の予防には必要なことである。その一方で、踊り子たちは大変で、マスクの下は汗だらけになると、メディアのインタビューに答えていた。
この先、当たり前の光景がどのように変化していくのだろうか。マスク姿の踊り子を見てみたいと思うと同時に、早くアメリカ取材に行きたいものだと、改めて思う。(文/丸山ゴンザレス)