
堂内に光が差し込む。緩やかに風が通る。季節や時間によって、堂内の表情は刻々と移りゆく。堂内からふと外に目をやると、お堂の扉の上に、仏さまの光背のような木彫のデザインがあることに気づいた。「波模様は風通しが良く、堂内に湿気がこもらないんです」(福原さん)。
福原さんは僧侶でありながら、ビブラフォン奏者という顔も持つ。僧侶と打楽器奏者の“二刀流”だ。イギリスの音楽大学への留学経験もある。本堂の地下スペースでライブも開く。事前の打ち合わせにはなかったが、演奏をお願いすると、快く即興ライブに応じてくれた。軽快なリズムが刻まれると、有安さんはすぐにカメラを構え、シャッターを切り始めた。

有安さんは「ふだんは、演奏している姿を撮られる側だったので、とても新鮮でした」とにっこり。「バンドのメンバーを撮影することはあったのですが、取材として、演奏する方を撮影することはなかったので。距離感が難しいですね。あまり近寄ったら、演奏の邪魔になるかなとか、いろいろ考えちゃいましたね」。
有安さんなら、どんな二刀流がしたいですか? と聞いてみた。少し悩んで「薬剤師さんかな。むかし、ラジオ番組で診療所の1日体験をしたんですよ。間違った薬を出せない責任感を背負って仕事をすることにやりがいを感じます。あと、食パンが好きなので、パン屋さん! 最近、食パンがおいしくやけるトースターを買いました」と笑った。

今回特別に入れていただいた正福寺地蔵堂の堂内は、先祖供養をする8月8日(新型コロナの影響で2020年は中止が決定)、建立記念である9月24日、地蔵まつりの11月3日の年3回、公開される。例年、地蔵まつりには数千人が訪れる。公開状況は今後、変更される可能性がある。問い合わせは正福寺(042・391・0460)へ。
新型コロナの影響で有安杏果さんのライブも日程変更がある。最新情報は、有安杏果オフィシャルサイトhttps://www.ariyasumomoka.jp/
有安さんのYouTube公式チャンネルもぜひご覧下さい。https://www.youtube.com/channel/UC8l3T-SzkzJ4hhN9qFDAYtg
正福寺 東京都東村山市野口町4丁目6番地1 西武鉄道新宿線で東村山駅下車。徒歩約10分 境内自由
<写真>
有安杏果(ありやす・ももか)/1995年3月15日生まれ。歌手、写真家。0歳から芸能活動を始め、CMやドラマ、MVなどに出演多数。2017年3月、日本大学芸術学部写真学科卒業。芸術学部長特別表彰受賞。写真学科奨励賞受賞。2009年7月から8年間アイドルグループで活動し、2018年1月卒業。2019年1月、音楽や写真などを通して表現し伝えていく活動を発表。有安杏果オフィシャルサイト(https://www.ariyasumomoka.jp/)「サクラトーン」「虹む涙」ストリーミング&ダウンロード配信スタート!(https://www.ariyasumomoka.jp/extra/sakura_tears/)
<文>
平野圭祐(ひらの・けいすけ)/1970年、京都市生まれ。毎日新聞社に入社。横浜支局、経済部兼京都支局記者を経て、朝日新聞社入社。金沢総局、大阪本社社会部記者などを経て、大阪企画事業部で「国宝 阿修羅展」「国宝 鳥獣戯画と高山寺」「運慶」などの展覧会を担当。現在、寺社文化財みらいセンター事務局長。著書に「京都水ものがたり―平安京1200年を歩く―」など。

