大リーグ・エンゼルスの大谷翔平選手(gettyimages)
大リーグ・エンゼルスの大谷翔平選手(gettyimages)
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 ドキュメンタリー映画監督の海南(かな)友子さんが10歳の息子と年上の夫を連れ、今年1月からニューヨークで留学生活を送っている。日本との違いに戸惑いながら、50歳になっても挑戦し続ける日々を海南さんが報告する。

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 ニューヨークで最も爽やかな6月の末から、日本より一足早い夏休みが始まった!

 小学5年の息子が通う日本人学校も、夏休みが2カ月間ある。セントラルパークの広大な敷地にたくさんあるプレーグラウンドには、水遊びや遊具ではしゃぐ子どもたちの笑い声がこだましている。

 アメリカの夏休みの定番は、サマースクールだ。キャンプ地などでの長期宿泊型サマーキャンプや、学校での日帰りアクティビティー、そしてYMCA(キリスト教青年会)などの民間組織が学童のように子どもを預かるパッケージも人気だ。

 スポーツや音楽を中心とした特別な体験から大自然を味わう企画まで、安くて質のいいサマースクールは春ごろから申し込みが始まる。応募が殺到するため、早めに予定を組む必要がある。12歳以下の子どもをカギっ子のように自宅におくことが難しいアメリカでは、サマースクールが決まらないと両親は働くこともままならない。

 夏の過ごし方はさまざまで、息子の友だちの中には、家族でメキシコなどに海外旅行に行く子もいたし、一時帰国して日本の学校で短期間だけ学ぶ子もいた。

 我が家はいろいろ考えたが、私の大学も休みだし、夫の強い希望もあったので、大リーグ・エンゼルスの大谷翔平選手を見にロサンゼルスに行くことになった。

 実は、夫は私の留学のために仕事をセーブして米国に帯同し、子どもの世話を積極的に担ってくれている。夫のサポートに報いる絶好の機会だ。

 大谷選手の登板がいつになるかわからないため、少し長めにロスに滞在してその日を待った。街の中心から電車を乗り継いで1時間ほどで球場へ。ワクワクが止まらない夫と息子は試合開始の2時間前から球場に入り、炎天下、大谷選手からサインをもらうべくボールとサインペンを抱えて待ち続けた。

 残念ながらもらえなかったのだが、目の前でウォーミングアップしている「生・大谷」には、野球に関心のない私もちょっと感動した。誠実そうな雰囲気が、全身からあふれ出ていたからだ。

 夫が買ったシートは内野席ベンチ裏の良席。しかし、日よけがないため、殺人的な暑さだった。耐えられなくなった私は売店に走る。アメリカは現在、40年ぶりの物価高。円安も重なって、買い物のたびにいやが応でもそれを実感させられる。

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