●数千万円をだまし取る「仮想通貨詐欺」も増加中
「手軽な決済方法なので、お金を使っている、お金が出ていくということを実感しづらく、そこが加害者たちに狙われてしまうポイントになっているのです。少額ならなおさらでしょう。キャッシュレス詐欺は、従来のような数百万円以上の大きな額ではなく、数千円~数十万円という少額な被害が多い。だから相談も少なく、メディアでも報道されにくいため、あまり周知されていないのです」
被害者が諦めてしまうことが多いため、被害総数が明確にならないというわけだ。明るみに出ないだけで、多くの人が知らず知らずのうちに被害者になっている可能性がある。それが、「キャッシュレス詐欺」の恐ろしさなのだ。
ほかにも、キャッシュレス決済の特長でもある「手軽さ」が、より犯行がしやすい状態にさせるという。
「オンライン上で決済が完了してしまうということは、詐欺行為もオンライン上で完結するということ。つまり、加害者は被害者と顔を合わせずとも、お金をだまし取ることができるのです。犯人の特定が難しい点も、お金を取り返しにくい一因になっており、被害者が『しょうがないか…』と泣き寝入りする状況を作り上げています」
ニュースに取り上げられる詐欺は、1人が数百万~数千万円のお金をだまし取られるというケースが多い。しかし、「ちりも積もれば」の精神でコツコツとキャッシュレス詐欺行為を働く犯人にかかると、多くの人が気づかぬうちにお金をだまし取られてしまう可能性があるのだ。
とはいえ、オンライン上の詐欺でも、1件で数千万円規模の被害が出ている事例も、もちろんある。
「多いのは、『仮想通貨』に関する詐欺ですね。要求される額は数百万~数千万円と大きいのですが、仮想通貨という形にすることで、やはり『お金が出ていく』という実感が乏しくて、支払ってしまう人が多いようです。もしも『仮想通貨を使って投資をするともうかるよ』というような誘い文句を言ってくる人がいたら、よく確認をしたほうがいいでしょう」