※写真はイメージです (GettyImages)
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「キャッシュレス決済」のサービスが数多く登場する昨今、ほとんどの人が、何らかのサービスを利用していることだろう。現金いらずのうえ、ボタン1つで会計が済むとあり、その簡便さが大きな魅力となっている。しかし一方で、その手軽さを逆手にとった「詐欺被害」も頻発しているという。(清談社 ますだポム子)

●少額を大勢からだまし取るため犯人の足がつきづらい

 クレジットカードやデビットカード、スマートフォンアプリなどを用いるコード決済など、「キャッシュレス決済」の種類が増えてきている。

 昨年10月の消費税増税の際に、キャッシュレスでの支払いにはポイントを還元する事業が導入され始めた。これを機に「○○Pay」などのアプリを使い始めた人も多いことだろう。キャッシュレス決済は、我々の日常に根付いてきているのだ。

 しかし、こうした新サービスが普及する一方で、サービスを悪用した詐欺の被害も増えてきている。

 たとえば、店舗が提示するQRコードを購入者が読み取ることで会計を行う決済方法では、いつの間にか店舗側のQRコードが張り替えられ、売上金が犯人の口座に送金されるという事件があった。また、購入者が自身の持つQRコードを店側に提示し読み取ってもらう形式の決済では、犯人が被害者のQRコードが表示されたスマホの画面を会計待ちの列に並んでいる最中に盗撮し、不正利用したという事件が中国で起きている。

 こうしたキャッシュレス決済を悪用した詐欺被害について、さまざまな詐欺被害に詳しいグラディアトル法律事務所の弁護士である清水祐太郎氏は、こう語る。

「当事務所では、『PayPay』のサービスの提供が始まった2018年頃から、こうしたキャッシュレス決済に関する相談が増えてきた印象があります。増えてきたとはいっても、まだまだ現金をだまし取られる詐欺被害のほうが多いですけどね。しかし、実際の被害件数は、我々が把握している以上に多いと思います」(清水氏、以下同)

 というのも、キャッシュレス決済のほとんどは被害額が少額で、被害者側が「このくらいの金額なら、弁護士や警察に相談するほどでもないか…」と諦めてしまうことが多いからだという。

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数千万円をだまし取る詐欺も増加中