(c)2019 CJ ENM CORPORATION, BARUNSON E&A ALL RIGHTS RESERVED
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──「パラサイト 半地下の家族」というタイトルはどこから来たのですか?

「最初の案が浮かんだ時は『パラサイト 半地下の家族』というタイトルではなかった。物語も二つの家族を対比させて描く内容でした。その後で貧困層の家族からの視点に変えました。何度か内容も変わり、現在完成した『パラサイト 半地下の家族』となりました」

──家庭の装飾用の石が登場するのは何故ですか?

「石を収集するというのは、昔ふうの趣味で、祖父の世代の趣味です。またあのような石は非常に高価で、主人公の家族とはかけ離れた世界のものなのです。日本でも似たような話だと思います。あの石は主人公の友人が持ってきたもので、その友達こそ、この物語のきっかけを作った人物なのです。彼がきっかけで主人公は家庭教師となり、家族ぐるみのドラマが始まるのです。友人のミニョクは裕福な家庭の出身で、あの石はそれを象徴するものなのです。石集めというのは、とある階級の一部の人の関心事なのです。家が洪水で浸水しても石は主人公について回ります。それは幻想のようなものでもあります」

──石が裕福な階級を象徴するものとしたら、地下鉄のにおいのように、においが貧困階級を象徴するものという形で登場します。においを使った意図を教えてください。

「人のにおいというのは非常に私的で、それについて私たちは会話で触れることはありません。非常に親しい人以外とは。人にとってにおいを指摘されるというのは、非常に恥ずかしいことです。人の心を大きく傷つけます。裕福な階級の夫婦がソファで、運転手であるギウの父のにおいについて話し、その後に地下鉄利用者のにおいについて触れます。これは地下鉄を利用する階級の人全体を侮辱していることになります。彼らは誰かが聞いているとは思わない、私的な会話なわけです。ところがそれを耳にした人にとっては不快なわけです。現実の世界では、富裕層と貧困層が出会う機会というのはほとんどありません。レストランや飛行機など、全てが分離されています。映画の中では、運転手として働くという状況の中で、この二つの層が出会うことになります。それがこの映画の核にあるのです」

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