像面位相差AFはなくコントラストAFのみだが、フォーカススピードは速くピント合わせ時では遅く感じることはなかった。合焦精度も申し分ない。アポ・ズミクロンの50ミリを使用したが、強い逆光条件ということもあってゴーストが画面下部にちょっとだけ出た。ただし、コントラストの低下はなくヌケのいい描写だ●ライカSL2・LEICA APO-SUMMICRON-SL 50mm f/2 ASPH.・絞り優先AE(絞りf2・2500分の1秒・-2/3補正)・ISO400・AWB・JPEG(撮影/河田一規)
像面位相差AFはなくコントラストAFのみだが、フォーカススピードは速くピント合わせ時では遅く感じることはなかった。合焦精度も申し分ない。アポ・ズミクロンの50ミリを使用したが、強い逆光条件ということもあってゴーストが画面下部にちょっとだけ出た。ただし、コントラストの低下はなくヌケのいい描写だ●ライカSL2・LEICA APO-SUMMICRON-SL 50mm f/2 ASPH.・絞り優先AE(絞りf2・2500分の1秒・-2/3補正)・ISO400・AWB・JPEG(撮影/河田一規)

■手ブレ補正機構搭載でもほぼ変わらない 大きさと重さ

 SL2のスペックを見て、まず心配だったのが大きさと重さだ。ボディー内手ブレ補正機構が搭載されたことで、ただでさえ重かった重量がさらに増してしまうのではと危惧したが、わずか64グラムの重量増に抑えられているうえ、グリップ形状の見直しで、ホールドしやすくなったことも影響してか、手にしたときの実感はSL2のほうがむしろ軽く感じる。

 サイズもほとんど同じだが、SLではフラットに処理されていた液晶モニターやマウント面が若干出っ張っているのは残念。とはいえ、ボディー内手ブレ補正という非常にかさばる機構を内蔵したことを考えると、ボディーサイズに対する影響をこの程度でとどめたともいえる。

 手ブレ補正機構を搭載したことのメリットは今さら言うまでもないが、ライカのレンズ交換式カメラとしては初搭載(電子手ブレ補正は過去にもあったけど)ということで、特にM型用レンズを装着したときにも手ブレ補正が使えることに魅力を感じる人が多いのではないだろうか。他社のミラーレス機でもアダプターを介してMレンズを装着できるが、手ブレ補正機構を有効に活用するためにはレンズ交換を行う度に焦点距離を手入力しなければならないのが面倒だ。

 しかし、ライカSL2に純正マウントアダプターの組み合わせならレンズ側の6ビットコードを読み取れるため、手ブレ補正用に焦点距離を手動で入力する必要はない。これは同じLマウントを採用するパナソニックSシリーズでも実現できていない部分だ。なお6ビットコードのないMレンズでも、メニューにあるレンズリストからレンズ名を手動で設定できる。

SLでは彩度設定パラメーターの延長線上にモノクロ切り替えがあるというわかりにくい仕様だったが、SL2ではより明示的にモノクロ撮影を楽しめる。試用機はベータ版のため、このモノクロは製品版と異なる可能性があるが、なかなかメリハリのある再現だ●ライカSL2・LEICA APO-SUMMICRON-SL 50mm f/2 ASPH.・絞りf2・3200分の1秒・AWB・ISO400・JPEG(撮影/河田一規)
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SLでは彩度設定パラメーターの延長線上にモノクロ切り替えがあるというわかりにくい仕様だったが、SL2ではより明示的にモノクロ撮影を楽しめる。試用機はベータ版のため、このモノクロは製品版と異なる可能性があるが、なかなかメリハリのある再現だ●ライカSL2・LEICA APO-SUMMICRON-SL 50mm f/2 ASPH.・絞りf2・3200分の1秒・AWB・ISO400・JPEG(撮影/河田一規)

 画像処理関係では今までのSLになかったフィルムモードが搭載され、標準のほかビビッド/ナチュラル/モノクロ/モノクロHCという五つの絵づくりを選べるようになった。今回試用した機材はまだベータ機であったため、この機能は使えずカラーとモノクロの切り替えしかできなかったが、ライカの考える絵づくりのバリエーションがどのようになるのか楽しみだ。

写真・解説=河田一規

※『アサヒカメラ』2019年12月号より抜粋