
以前、複数のUHS-II対応のミラーレス機で、当時最速のUHS-IIのカードと、同じく最速のUHS-Iのカードで比較したことがある。UHS-IIのカードを使ったほうが2倍書き込みが速かったカメラでは電力消費が30%少なく、3倍速のカメラでは60%も少なかった。
三つ目は、パソコンのストレージも高速化しているからだ。現在ではメインのストレージはハードディスクではなく、フラッシュメモリーを使ったSSD(Solid State Drive)を採用しているパソコンも多い。SDメモリーカードのUHS-Iやコンパクトフラッシュで速いといわれた95~160MB/秒は、パソコンでハードディスクが標準的だった時代の話である。
いまや理論値で600MB/秒のSATA接続のSSDだけでなく、4000MB/秒のPCI Express(以下、PCIe)接続のものが標準搭載され始めている。パソコンの進化を最大限に生かさない手はない。
SSD搭載のパソコンであれば、SDメモリーカードUHS-Iまでしか対応しないカメラであっても、パソコンへの転送速度を向上させるためにUHS-IIのカードを使って200MB/秒超の高速転送を利用しない手はない。
もちろん、パソコンに高速で転送するには、高速なカードリーダーも必要になる。USB2.0(60MB/秒)以下の規格の製品で転送するというのは、もはや論外に等しい。USB3.0以上で接続するリーダーを、パソコン側の対応する端子に接続して使うのが基本だ。
現在主流なのはSDメモリーカードだが、こちらも高速化が予定されているし、XQDとCFastは今後CFexpressに統合されていく。カメラ、メモリーカード&カードリーダー、そしてパソコンの性能バランスを整え、これらが生み出すサクサク体験を楽しみたい。その時の作業効率は間違いなく半端ない。
解説:大木和彦(プログレードデジタル)
※『アサヒカメラ』2019年9月号より抜粋