政治学者の著者が、恋愛結婚が主流になった1970年代から現在までの「婚活」を雑誌やドラマから解き明かす。
著者は、「婚活」という言葉は2007年に誕生したが、理想の結婚のために努力する行動はそれ以前から存在していたという。「クロワッサン」「結婚潮流」「Hanako」「an・an」「ゼクシィ」や、婚活本をもとに結婚をめぐる言説を分析。兼業主婦や晩婚、できちゃった婚などに注目し、従来の社会規範に対して反発や揺り戻しを繰り返してきた女性たちを浮き彫りにする。
若年女性に「働き手」「産み手」の両方の役割が期待される現代。近年の専業主婦志向は、その流れへの反発であり、昭和的家族の復権ではないとの指摘は鋭い。本文下部に組まれた著者と編集者との「副音声」と称する雑談も一読に値する。(内山菜生子)
※週刊朝日 2019年9月27日号