世界人口の4人に1人はイスラム教徒である。3分の1になるのは時間の問題。いま日本人に必要なものは、ムスリム(イスラム教信者)の「哲学」ではないのかと説く。
本書はイスラム学者の2人が、日本人向けにムスリムの考え方、ものの感じ方について、ビジネス、男女のこと、貧困問題、心の病、高齢社会、世界平和などのテーマ別に分かりやすく解説した対談と、エッセイで構成される。
不運も失敗も、貧困も病気も、すべてアッラー(神)から与えられたもの。くよくよしても無駄。金や才能は、あればあるほど試練も増す。国に頼らず、家族の絆を大切にし、悪いことをしたら翌日には善いことをする。国と国の間に壁を作る西洋的発想からの脱却が必要と語る。日本人にはないイスラム的思考や知恵が満載で、学ぶことは多い。(村上玄一)
※週刊朝日 2019年4月5日号