さて、7年目で飽きるのは、夫婦だけじゃない。大衆全体が一斉に飽きている。
2002年から2003年にかけて、自動車は「丸さ」と「カラフル」のピークを迎えた。丸くて、お菓子やフルーツのような色に塗られたコンパクトカーが町を席巻した。
その7年後、2009年、車のCMに不思議な現象があった。「四角い」ブームである。「町で噂の四角形男子」(トヨタ、ルミオン)や「カクカクシカジカ 四角いムーブ コンテ新登場」を覚えている方も多いと思う。
丸い車に飽きると、人々は「角が立つ」ことに好感を覚える。ころっとした車に角が立つわけだ。次の7年で、その角がしゅっと尖る(2016年のカーオブザイヤー、マツダ ロードスターを見るといい)。さらに7年経つと、この角が直角になって、横長の直線が現れ始める。さらに7年経った28年目、かつての箱スカのような直線と角で出来たクールな車が颯爽と登場するはずだ。2027年頃と予想される。
女性のファッションも、同様に推移する。「丸さ」の時代にはグラマラス系ファッションが流行り、太ったアイドルも登場、つけまつ毛が大流行した。尖りの時代にはアイラインブームが勃発、つけまつ毛に取って代わった。2027年頃には、「直線」を欲して、ロングスカートやハイウエストの幅広ロングパンツのような「長い線」を見せるものが流行るはず。あるいは、ミニスカートでスレンダーな脚(長い線)を見せつけるとか。
人々の感性は、7年で位相を変えつつ28年で真逆になるため、56年前によく似た現象が起こっているのだ。2027年の56年前といえば、1971年。パンタロンとミニスカートが世を席巻していた。
56年ぶりと言えば、東京オリンピックが56年ぶり。大阪万博も決定した。こうなると、東京オリンピック後、大阪万博まで続いた昭和最大の好景気「いざなぎ景気」の再来を期待しても悪くないのでは?
自動車がクールに角張る時代、人々の気持ちもまた尖ってくる。56年前は、「革命」が人々の気持ちを掻き立てた。チェ・ゲバラが英雄になり、日本では赤軍派のようなあだ花も咲いた。今期は、何が人々を掻き立てるのだろうか。
人々の気持ちは、一時も立ち止まらない。「永遠」は、この世にはないのである。栄枯盛衰を生み出す一方で、だからこそ商品は売れ続ける。「56年前」をヒントに、「栄」と「盛」だけを手にするという手もあるのである。