
「推測ですが、インタビューの際に『楽しいかどうか』という聞き方をしてしまったのだと思います。そう聞かれれば『楽しい』と答えてしまいますよね」(白石さん)
プリクラ機の機能の具体的な善し悪しを聞くのではなく、「楽しい?」と聞いてしまっていたことが、押し付けにつながっていたのだ。さらに、こんなエピソードも。
「弊社が最初に発売したプリントシール機は、写真ではなく似顔絵ができるというものでした。後発だったこともあり差別化を狙ってリリースしましたが、大失敗。『そもそも似顔絵はいらない』とまで言われてしまいました」(白石さん)
この経験から、新製品の開発の中で当事者である女子高校生の声をより重視するようになったという。グループインタビューの歴史は長く、1997年頃から20年以上にわたって続けてきた。最新トレンドを生み出す裏側には地道な人間同士のやり取りがあったのだ。

「ダメ出しを受けた開発者はショックもありますが、意見の数だけ顔トレンドのデータベースができるので大切な時間です」(白石さん)
SNSの調査だけでは把握できない生の声。プリクラの数だけユーザーの声があるのだ。(AERA dot.編集部・福井しほ)

