新機種「トキメキルール」は人気モデル中村里砂さんがイメージを務める
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「プリクラ」を撮ったことがない人はいても、聞いたことがない人はいないのではないだろうか。それほどまでに、かつて女子中高生を中心に大人も巻き込んで空前の大ブームとなったプリントシール機「プリクラ」だが、1995年に元祖「プリント倶楽部」が登場して20年以上が経過した近年は、その人気にも陰りが見える。10月24日には、プリクラシール機大手のメイクソフトウェア(大阪市)が大阪地裁に自己破産を申請。プリクラ市場が衰えをみせるなか、唯一大手で生き残っている会社がある。ヒットの法則は、「容赦ない女子高生の声」を20年以上、聞き続けたことだ。

【画像】衝撃! たった5年でこんなにも変わるプリクラの「写り」と歴史を大公開(全6枚)

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 制服に身を包んだ6人の女子高校生が、プリクラ片手に楽し気な様子を見せていた。

「そこまで変わってないよね? もうちょっと現実離れした顔がいい」
「こっちは鼻筋が通り過ぎてて何かヘン」
「今日は前髪の調子が悪くてテンション下がるなぁ」

 白を基調とした室内に、イマドキの明るい音楽と女子高校生の声が響く。壁に沿うようにきっちりに置かれた6台の最新のプリクラ機に、吸い込まれるように中へ入る2人1組の女子高生。慣れた手つきで画面を操作して”盛り顔“(一番かわいい顔)を作っていく。

 ここはかつてプリクラ機がそこかしこに並んでいた東京・渋谷「センター街」から約15分歩いたところにある、業界最大手「フリュー」本社の一室だ。バージョンアップ予定のプリ機2台と最新機種のリリースを控え、主要ターゲットである女子高生を対象にグループインタビューが開かれていた。取材で訪れたときは、いかにユーザー好みの写り方を実現できているかを聞き出す「写りグルイン(グループインタビュー)」の真っただ中。撮影後は同社社員と1対1で撮ったばかりのプリクラについて、ああでもない、こうでもないと議論している。

■一番大事なのは「盛り」 目へのこだわり変遷

「いかに盛れるプリ機を作れるかが、一番大事」

 とは、同社広報課の白石夏海さんだ。同社の調査によると、女の子がプリクラを撮る動機は3つ。思い出を残すための「記念」、撮影や落書きを楽しむ「遊び」、そしてSNSに投稿して友だちや他人に見てもらうためにかわいい自分をつくる「盛り」だという。年代によって重視するポイントは異なるが、メインターゲットの女子高校生は「盛り」目的で撮影する子が多いという。そこで、同社では週に1度のペースでインタビューの場を設け、最先端のトレンド研究に取り組んでいる。

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福井しほ

福井しほ

大阪生まれ、大阪育ち。

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