(c)西本喜美子 ※アサヒカメラ9月号より
(c)西本喜美子 ※アサヒカメラ9月号より

 喜美子さんに話を聞いていると、言葉や行動の端々に優しさやユーモアを持ち合わせていることを感じる。今年4月発売のファッション雑誌「Violet」でこれまでの作品やインタビュー記事が掲載され、さらにはハイファッションに身を包んだ喜美子さんがモデルとして誌面に登場した。その写真を見ながら、「本当にふざけておるね~(笑)。撮影中は楽しかったけれど、じかに見たらすごいメイクですよ~」と言い、周囲を笑顔にさせてしまうのだ。 

 写真を通じて人生を謳おう歌かしている喜美子さんの活躍はとどまるところを知らず、最近ではアイドルグループの私立恵比寿中学が今年8月にリリースした配信限定シングルのジャケット写真とアーティスト写真も手がけた。彼女たちのライブにも招待され、会場の2階席から公演を楽しんだそうだ。

 年齢を言い訳に行動できないことは、誰しも経験していることだろう。

「どこに行っても私が年上だからねえ(笑)。こんなおばあちゃんとお付き合いしてくれるなんて本当に有り難い。だから、友だちのことは考えるけれど、年齢は考えない。何事もやってみないと分からないよ」

 喜美子さんのチャレンジ精神や活躍に、何かを始めるのに遅すぎることはないと勇気が湧いてくる。

自撮り以外の作品。流木やキノコ、花や玉ネギなど身近なものを自宅で撮影、加工して仕上げていく(c)西本喜美子 ※アサヒカメラ9月号より
自撮り以外の作品。流木やキノコ、花や玉ネギなど身近なものを自宅で撮影、加工して仕上げていく(c)西本喜美子 ※アサヒカメラ9月号より

◯にしもと・きみこ/1928年、ブラジル生まれ。小学生から本で育つ。70歳を超えて手にしたカメラで自撮りを中心とした撮影活動を開始。著書『ひとりじゃなかよ』(飛鳥新社)で2017年熊日出版文化賞受賞。現在のメインとなる使用機材は、ニコン D5500・18~200ミリ F3.5~5.6。

※「アサヒカメラ」2018年9月号から

(取材・文/久保田真理)