(撮影/写真部・大野洋介、スタイリスト/岡本純子・Afelia、ヘアメイク/石田絵里子・air notes)
(撮影/写真部・大野洋介、スタイリスト/岡本純子・Afelia、ヘアメイク/石田絵里子・air notes)

「壁を感じていないと言った2週間後ぐらいに、すごい壁が来て……。やっぱり10カ月間も同じ人を演じるというのは、自分でいる時間が無くなり、実の家族より楡野家といる時間が長くなり、自分の思いや自分が生きている時間の中に鈴愛をどうやって落とし込んだらいいのかわからなくなって。他の人とどう接していいのかわからなくなっていました」

 ドラマ後半の<人生・怒涛編>の一部は「まったく記憶がない」ほどだったという。

 自分の夢のため離婚したいと言い出した夫に、鈴愛が「死んでくれ」とこぼすシーンは、「朝からこんなことを言っていいのか」と賛否も広がった。永野さんも「言うのが難しいセリフだった」と振り返る。

「人の良いところと悪いところは結局繋がっていて、鈴愛はそれがすごくわかりやすい人。まっすぐでタフだし、こうと決めたら曲げないし、ものすごくパワフルな人だなと思う。それがいい方に回るときもあれば、悪い方に回ることもあって、それがすごく人間らしい。北川さんの脚本は、飾らない日常を描くからすごくリアル。『飛べる鳥を見ながら下を歩くのはごめんだ』とか『私は自分の人生を晴らしたい』というセリフがあったんですが、相当な挫折をしたり苦しいことがないと言えない言葉で、考えてみたら私はそんなふうに思ったことが無かった。鈴愛はどんなに苦しかったんだろうと思うと、演じるときは苦しかったです。なかなか重い言葉だけど、大人の方たちは結構わかるなっていうセリフだったんだと思います」

(撮影/写真部・大野洋介、スタイリスト/岡本純子・Afelia、ヘアメイク/石田絵里子・air notes)
(撮影/写真部・大野洋介、スタイリスト/岡本純子・Afelia、ヘアメイク/石田絵里子・air notes)

「自分でもグサグサ刺さったりしながら言うこともあって、捉え方によっては結構な内容になってしまう。『死んでくれ』という言葉も演じ方がミリ単位で違うだけで伝わり方が変わってくる。ナチュラルに言うのも難しいし、感情込めすぎても違う。娘のことを思ったらボソッと言っちゃって、自分よりも相手に届いちゃうってことが自然だよなと。鈴愛に共感するところもあれば、共感しないところもある。でも誰だってそうだよなと思う。でもそれが人だし、すごく人間らしさが溢れているなって思いました。でも私は友だちにはなりたくない! 友だちの友だちぐらいがちょうどいい(笑)」

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