宮田:日本って健診を熱心にやってますよね。そこから兆候をつかめたらいいんじゃないかと考えています。
大宮:できますかね?
宮田:例えば、子どもの出生体重をもとに成長曲線を描きます。それで、実際の身長、体重の伸びが、その予測と外れ始めたら、何か起こっているかもしれないとわかる。虐待かもしれないですし、健康の問題か、貧困かもしれない。データを使えば、一人一人の状態に合わせて支援をすることができるのです。最大多数でなく「最大多様の最大幸福」を目指すことができる時代が来ています。
大宮:なるほどー。
宮田:病気についてもそうです。認知症が進行してから治すのは、かなり難しいんです。データを使うことでもっと手前からサポートができます。例えば、スマホが記録した歩くスピードが、一定より遅くなったときに、介入するとか。
大宮:ほんとだ。データサイエンス、寄り添ってる。ウォッチしてる。
宮田:一人一人が、その人らしく生きるために、どういう状態が保証されていなくちゃいけないのか。データで可視化しています。もちろん、その人の心の中に、答えがあればいいんです。けれども、データになれば、多様な人たちに寄り添うための手がかりになります。
大宮:確かに、豊かさと言っても人それぞれだから、データ化しないと、比べようがないし、議論にもならないっていうのは、分かってきました。
※AERA 2022年12月26日号