そんなEさんは、さらに事態をこじらせてしまいます。

 減っていく貯蓄を何とか増やさなければと考え、貯蓄性のある生命保険であれば安心だし保障もされるだろうと、一括で700万円支払ってしまうのです。

 結局、その後、生活費が足りなくなったため、銀行口座に残していた400万円の教育費に手を着けざるを得なくなったというわけです。

●「無利息で借りられ10年還付」に飛び付いてしまった揚げ句に

 そもそも住宅ローン控除とは、どのような制度なのでしょうか。

 簡単に言えば、年末のローン残高の1%分の金額を、年40万円を上限として10年間、所得税から控除してくれるというもの。住宅ローン金利が1%であれば無金利で借りられることになりますし、金利0.7%などで借りることができれば、0.3%分の金額をもうけることができます。

 同僚は、そうした仕組みを知っていて、利息がかからない状態で借りられるのだから、まとまった頭金を1%でも2%でも利息が付くような形で運用した方がいいし、還付額が多くなるように「全額ローンで買った方がいい」と勧めたようです。

 しかしEさんは、そんな同僚の考えなど一顧だにせず、「無利息で借りることができて、10年間税金の還付を受けられる。しかもお金を借りるために必要だった資金を運用してさらに増やすことができる」と安易に考え、飛び付いてしまったのです。

●外貨建ての終身保険は不確実な商品 金の預け場所としては不適切

 さらに悪かったのは、金融知識に乏しいEさんが運用先として選んだ保険が、外貨建ての終身保険だったことでした。外貨建てのため為替リスクも生じますし、10年後にどうなっているのか全く分からない商品です。そんな不確実な商品のため、使う予定のあるお金を預ける場所として適切だとは言えません。

 もちろん、うまく運用できれば問題ないのですが、実際はそんなに甘くはありません。せっかく貯めた資金を毀損してしまうことだって十分あり得る話です。そうであれば、保険に回したお金を頭金として入れ、早く返済を終えてしまった方がまだマシだったと思います。

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