忙しいのに週3回の締め切りを自分に課すのはなぜなのか。
「ラジオ番組を持っている芸人は毎週一人語りで一週間の出来事を喋っている。それをやるかやらないかで1年後、2年後のトーク力、気づきの蓄えみたいなものがかなり変わってくると思うんですよ。僕も今やっておかないと大変かなと」
装画は漫画家の松本大洋さんに依頼した。
今回は箱入り、箔押しの特装版も作った。又吉さんにとって紙の本を開いて読む行為は特別なことだという。装丁の相談をするときはギンズバーグ『咆哮』、関口良雄『昔日の客』の初版本などを参考に持っていったそうだ。
大人になってからはずっと楽しいけれど、最近また楽しくなってきたと又吉さんは話す。
「今までいろんなことが気になっていたけど、開き直れた感じはありますね。自分の好きなようにやるしかないなって」
(仲宇佐ゆり)
※週刊朝日 2023年5月5-12日合併号