『ゴリラ裁判の日』は、手話で人間と会話ができる雌ゴリラが夫を殺されて裁判をする……最終的には人間とは何かを問う作品です。発売前から評判が高かったのですが、期待を裏切らない内容でした。遠野遥さんの4作目『浮遊』もいいですね。読み手によって受け取り方が違うと思うので、休み明けに感想を話し合うというような楽しみもありそうです。
最後は、韓国小説の中から『破果』を。65歳の殺し屋が主人公のエンタメ小説ですが、女性の権利や老いという社会問題についても考えさせられます。とても面白いので、映画化してほしいですね。(構成/編集部・三島恵美子)
■読みごたえたっぷり
○はじめての川上作品としても
『黄色い家』/川上未映子/中央公論新社
○「言葉の力」に圧倒される
『笑って人類!』/太田光/幻冬舎
『ボタニカ』/朝井まかて/祥伝社
『すべてのことはメッセージ 小説ユーミン』/山内マリコ/マガジンハウス
『兜町の男』/黒木亮/毎日新聞出版
『江戸一新』/門井慶喜/中央公論新社
『広重ぶるう』/梶よう子/新潮社
『ゴリラ裁判の日』/須藤古都離/講談社
『浮遊』/遠野遥/河出書房新社
『破果』/ク・ビョンモ/岩波書店
※AERA 2023年5月1-8日合併号