組織も国も異なる記者たちが連携する調査報道「グローバル・ジャーナリズム」が広がっているという。記者同士の連帯が巨悪を追い詰める光景は痛快だ。

 アゼルバイジャンでは携帯電話会社に絡んだ大統領一家に流れ込む謎の金脈を現地とスウェーデンの記者が追う。アフリカ南部のダイヤモンドを巡ってはイタリアンマフィアと現地の政治家の癒着をイタリア、アフリカ各国の記者連合が白日の下にさらす。そして、世界中から400人の記者が参加した「史上最大の作戦」は、タックスヘイブンの匿名法人の秘密を暴いた「パナマ文書」報道につながる。人や情報が技術の発達で国境を簡単に越えるようになれば、犯罪もボーダーレスになる。記者たちも連携するのは当然かもしれない。そこに日本メディアの存在感が薄いのは残念であるが。

週刊朝日  2017年5月26日号