春になり、苺が美味しい季節になりました。苺には、ビタミンCやカリウム、葉酸、食物繊維がたっぷりと含まれており、体にいい果物としても有名です。新生活が始まり体調を崩しやすいこの季節、旬の苺を食べて乗り切ってみませんか?
今回は、苺の歴史と栄養についてご紹介します。

苺の栽培が始まったのは約200年前から。意外と知らない苺の歴史。

苺と人類の関わりは長く、人類は石器時代から苺を食していたされています。人々は野生の苺を採取し、それを食糧にしていました。またその時代は苺の実の部分だけではなく、葉や茎の部分を薬として利用していたそうです。実は現在でも、苺の葉を乾燥して煎じたものが漢方薬として使われているとのこと。苺の葉や茎が薬として使われていたとは、意外ですよね。
このように苺は古くから人類に食されてきましたが、実は本格的に栽培が始まったのは約200年前のことでした。北アメリカと南アメリカに実る野生の苺がヨーロッパに伝わり、その二つが掛け合わされて、粒が大きな現在の苺ができたのです。
粒が大きな苺が日本にやってきたのは、1830年代の江戸時代でした。当時は苺の色が血を連想させるとして、食用としてではなく観賞用として普及したそうです。その後明治5年から日本での本格的な苺の栽培が始まります。当時は庶民が口にできるような代物ではなく、皇室用とされていました。庶民がようやく苺を口にできるようになったのは、昭和時代に入ってからのこと。現在の苺が広く日本で食べられるようになったのは、案外最近のことだったんですね。

森に実る野イチゴ
森に実る野イチゴ

どうして「いちご」って呼ぶの?

古くから人類と関係のある苺ですが、実は「いちご」という呼び名は、日本書紀に記されている「伊致寐姑(いちびこ)」からきているのだそうです。「いちびこ」と呼ばれていた理由には諸説あります。一つは、「い」は接頭語、「ち」は実の色から「血」、「びこ」は男性の名前に使われる「彦」を用い、苺を擬人化したという説です。
また、昔の人々に食べられていた苺は、粒が小さい野生の苺でした。粒粒とした真っ赤な実の様子が、すじこやいくらといった魚の卵を連想させたことから、「魚(いお)の血のある子のごとし」と言われていたとのこと。この、「「い」おの「ち」のある子の「ご」とし」からとって、「いちご」と呼ばれるようになったという説もあります。
さらに民間語源の中には、1月から5月に収穫されることから「いちご」と呼ばれるようになったという説もあるとか…。
歴史ある植物だけに、その語源には他にもいろいろな説があるようです。語源を調べてみることで、当時の人々が苺に抱いていたイメージを知ることができるのではないでしょうか。

苺を食べて虫歯予防?苺に含まれるキシリトール。

苺には、ビタミンCや葉酸、カリウムなど、体に良い成分がたっぷりと含まれています。実は苺には、他にも虫歯を予防する「キシリトール」が含まれているんです。
キシリトールといえば、一般的にガムに使われているイメージを持つ人が多いのではないでしょうか。糖アルコールの一種であるキシリトールは、虫歯の発生や進行を防ぐ働きをしてくれます。キシリトールガムなんかは、「歯磨きガム」とも呼ばれていますよね。
甘くて美味しいだけではなく、虫歯を予防してくれる成分まで含んでいるとは…。苺、あなどれません…!
しかし苺に含まれるキシリトールは、虫歯予防の一つの対策にすぎません。食事をとった後は、しっかりと歯を磨くようにしましょうね。

<参考・参照>
いちご農園, イチゴあれこれ
さがいちご, こどものためのいちご教室
南房総いいとこどり, いちご庭園, いちごのコトいろいろ
語源由来辞典, いちご
日本フィンランドむし歯予防協会, キシリトールの基礎知識