■ダイナミックな療育遊び

 身体が不自由で3歳頃になっても首が座らないお子さんや、けいれん発作がある赤ちゃんの場合、どうしても身体を動かして遊ぶことに躊躇(ちゅうちょ)してしまうのですが、実は激しい遊びが大好きな赤ちゃんもたくさんいます。この日はタオルケットの中に赤ちゃんを入れて両端を大人2人で持ち、赤ちゃんのペースに合わせながら揺らしていく「シーツブランコ」と、床に置いた作品に合わせて横になって写真撮影をする「ごろんアート」がメインになりました。

 ユリ先生が司会をしながら、朝の会のような「お名前呼び」で始まり、自己紹介、歌に合わせたベビーマッサージ、さくら紙を使ったダイナミックな療育あそびと続きます。自己紹介では、会場に集まった20組のうち、「同じ障害のある赤ちゃんを育てるご家族と初めて触れ合った」というお話をされた方が8割以上いました。通院時に会う赤ちゃんを見て話しかけたくなっても、失礼かな?と思ったり、嫌な態度をされるかもしれない不安を考えると、なかなか声をかけづらいとおっしゃる方ばかりでした。

■親近感抱き交流深まる

 悩みを共有し、「障害児育児あるある」話をしたりしながら、お互いに親近感を持ち、交流が深まっていくのだと思います。新米パパの参加が多いのもベビークラスの特徴で、ママたちが夢中で話している間、パパがお子さんの面倒を見ているご家族が多いのも印象的です。どのお子さんもパパやママからとても愛されているのが伝わりました。それでも、どんなに子どもがかわいくても、たまに不安な気持ちになったり自信をなくしたりしてしまうのが障害児育児です。そんな時は、私たちピアサポーターや、ワークショップで知り合った方に相談できる環境を提供するのが、かるがもCPキッズの最大の役目だと思っています。

 次年度こそ、コロナ以前と同じサイクルでのワークショップが開催できるように、準備をしていきたいと思っています。

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江利川ちひろ

江利川ちひろ

江利川ちひろ(えりかわ・ちひろ)/1975年生まれ。NPO法人かるがもCPキッズ(脳性まひの子どもとパパママの会)代表理事、ソーシャルワーカー。双子の姉妹と年子の弟の母。長女は重症心身障害児、長男は軽度肢体不自由児。2011年、長男を米国ハワイ州のプリスクールへ入園させたことがきっかけでインクルーシブ教育と家族支援の重要性を知り、大学でソーシャルワーク(社会福祉学)を学ぶ。

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