初めてのコンサートに向けて、都内の事務所で練習に励む高嶋弘之さん(本人提供)
初めてのコンサートに向けて、都内の事務所で練習に励む高嶋弘之さん(本人提供)

 それにしても、僕のチケットがこんなにすぐ売り切れるとは、自分でもびっくりしています。テレビによく出ているから、きっと僕の「テレビ人気」のおかげでしょうね。街を歩いていても「高嶋さーん」「おとうさーん」ってよく声をかけられますし。この前、インスタで歌を披露したから、それを聞いて「ぜひ」とチケットを買ってくれた人もいるかもしれない。
 

――5月に埼玉県入間市で講演した時は、「今度コンサートをやります」と告知して、2曲ほどサビだけ披露したとか。

 はい。反響がよくて、調子に乗っています(笑)。
 

――10月はどのようなコンサートに。皆さんは楽しい高嶋家の話を聞きたいと思っているのでは。

 コンサートのテーマは、「昭和歌謡」です。昭和歌謡のトークの中に、高嶋家の話は入れようもない。きっと来てくださるのは僕のファンだから、僕が楽しく話して歌って、それを楽しんでくださると思っています。
 

――いつも「うるさいよ!」と辛口のちさ子さんの反応は。

 ちさ子には言わないでおこうと思ったんですが、意外にもちさ子は全く反対しなくて、「こうしたらどう?」とかアイデアを言ってくれたので驚きました。「自分と一緒にやっているバイオリニストをつけてみたらどう?」って提案してくれました。それは恐れ多いので断りましたよ。ピアノと琵琶の演奏を考えています。

 95歳までは普通に仕事もできる自信もありますし、音楽への愛も尽きません。

 日本には、世界にはない「叙情歌」があります。古今和歌集、百人一首、新古今和歌集と立派なポエムを持っている民族。それを誇りとして、世界に日本の文化が貢献することを願っています。

 下手だけど、僕の歌を通じて皆さんに楽しんでもらいたい。91歳にしてとんでもないことをやっている。これを見てほしい。

 ここまでくると、もうしょうがないと思っているんじゃないですか、ちさ子は。

(AERA編集部・大崎百紀)

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