「地方の総合病院では特に、建物の老朽化も大きな問題だと思います。また、院長先生の高齢化が進む中、地方では働き手が減少し、後継者がいなかったり、看護師が集まらなかったりします。加えて老朽化が進むと、本来は建て替えや設備投資をして新しい機器を導入したいところですが、そこにも大きなコストがかかります。こうした複合的な課題が重なり、『もうやめようか』という判断に至るケースもあります。結果として、医療の空白地帯が地方で生まれているのです」と佐藤さん。
今後、同様の理由で経営が困難になる病院は多く出てくるだろう。一駅先まで足を延ばせば病院があるかもしれないが、今後、生活に密接した病院の先行きも怪しい。
佐藤さんは次のように警鐘を鳴らす。
「このまま下半期の倒産件数が増加すると、医療体制への不安が高まります。大病院は生き残るかもしれませんが、地域医療の中核となる病院のように、日常的に通う病院がなくなってしまう可能性もあるかもしれません」
(AERA編集部・古寺雄大)
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