金足農(秋田)(撮影/写真映像部・松永卓也)
金足農(秋田)(撮影/写真映像部・松永卓也)
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 連日の熱戦が続いた夏の甲子園も最終盤。酷暑の中での大会とあって、体調管理も重要だ。代表校もさまざまな工夫を重ねていた。

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 成長期の高校野球選手にとって、技術練習と同じくらい重要なのが体調管理だ。一時期は「3合飯」といって、ひとりで一度にご飯3合を食べる「食トレ」がはやった。今はそれほど大量ではないが、「補食」といって練習の途中や終わりにおにぎりなどを食べるチームは多い。

「うちはひとつ160グラムのおにぎりを、ひとりで1個か2個食べます」

 と言うのは、金足農の森合慎一郎部長だ。さすがコメどころの秋田代表……と言いたいところだが、なんと全国的なコメ不足が直撃していた。

「おコメはコメ農家をされている生徒のおうちからいつも買わせていただいていたんですが、とうとう『売るおコメがなくなりました』と言われました」(森合部長)

 結局、コーチらが八方手を尽くして確保したらしいが、マネジャーの加藤郁子さんは、「貴重なので、少しでも残さないように細かく計算しながら炊いていました」と言う。

 ちなみに補食のコメ不足を他の学校でも聞いて回ったが、実感していたのは金足農のみ。コメどころだけに全国に流通させることを優先した結果なのかもしれない。

沖縄尚学(沖縄)(撮影/写真映像部・松永卓也)
沖縄尚学(沖縄)(撮影/写真映像部・松永卓也)

 おにぎり以外の補食を提供していたのは沖縄尚学。毎日鶏のササミを2キロぶん用意する。

「夏場に体重を落とす人が多かったので、たんぱく質補給で始めました」

 と、マネジャーの山内啓司さん。マネジャーは彼一人なので毎日大変そうだが、「一度に全部ゆでて塩コショウ振るだけなんで」と笑った。

 一方で、「マネジャー3人がかりで毎日おにぎりを100個以上握る」と言うのは、春夏通じて甲子園初出場の綾羽(滋賀)のマネジャー・中川萌愛(もあ)さん。毎日32合(約5キロ)のご飯を炊き、味付けもめんつゆや焼き肉のタレを使うなど工夫している。「練習が終わる前にフライングして取りにくる人がいます」と、選手にも人気だ。

綾羽(滋賀)(撮影/写真映像部・東川哲也)
綾羽(滋賀)(撮影/写真映像部・東川哲也)
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