
皆さんの中には、「こんなことを言ったら悪いかも」「自分のために言ってくれているから反論しづらい」などと思い、言いたいことを飲み込んでしまいがちな人はいませんか? でも、そんな自分を卑下する必要はありません。実は、相手の話をきちんと聞き、気持ちや立場を思いやれる「お人好しの口下手さん」は、「伝える技術」さえ身につければ、コミュニケーションの達人になれる可能性を秘めています。
今回紹介する書籍『お人好しが損しない話し方の教科書』は、フリーアナウンサーや司会者など、話のプロとして活躍する川畑亜紀さんが、人生のチャンスを逃さないための「伝える技術」を伝授する一冊です。
本書がユニークなのは、各章ごとに「トークアイテム」を手に入れて、話し方のレベルを上げていくRPG(ロールプレイングゲーム)のような構成になっているところです。たとえば第1章のテーマは「自己紹介」。短所はいくらでも出てくるのに、いざ長所となると何も思いつかない......そんなとき川畑さんがすすめるのが、"短所を長所に言い換える"という方法です。さらに短所と長所の両方を伝えると、社会人として最高の自己紹介になるといいます。
ほかにも自分用の短いキャッチコピーを作ったり、3つのキーワードを並べたりするなどの方法も効果的。これらを自分に当てはめていけば、簡単に「自己紹介の型」を作り上げることができます。この章で手に入るトークアイテムは「魔法の鏡」。そこには川畑さんの「まずは自分がどんな姿をしているのか、鏡に映して見えるようにしましょう」(本書より)というメッセージが込められています。
さて、こうしてレベルアップしていく中で、対決すべき敵はどこにいるのでしょうか。本書で「お人好しの口下手さん」のラスボスとして挙げられているのが、「パワー系コミュ障」とされる人々です。自分に自信があり、口数も多く、主張が強いが、人の話は聞かない......こうしたタイプが上司や同僚にいると、勢いに押されて言いたいことが言えなくなったり、自分の主張を飲み込んでしまったりする原因になりがちです。
本書では「緊張をやっつけろ!!」「職場で即使えるコミュ力」「説明(プレゼン)力をあげる!」「気が利く人の、伝え方」といった章を通して、どんどんとノウハウを獲得していきます。読み終えるころには、数えきれないほどの「言葉の武器」を身につけていることでしょう。
川畑さんは「コミュニケーションは、相手の可能性を引き出し、自分自身の成長を促す魔法のような力」と語ります。「上手に伝える技術」があれば、相手に気を遣って言いたいことを我慢する場面はグッと減るはず。あなたの優しさを大切にしながら、「伝える技術」という新たな武器を手に入れて、これからの人生をもっと生きやすくしてみませんか。
[文・鷺ノ宮やよい]