
議員同士の食事会では、年配の男性議員に手を握られたり、「僕は〇〇町にマンションを持っているんだけど」なんて言われたり。驚いたし、とても嫌でしたが、「ちょっとトイレに行ってきます」と一度離れた後、その人から遠く離れた席に座るなど、なるべく波風を立てずにやり過ごしていました。
先輩に逆らってはいけないと思っていたし、女性は男性の言うことを聞く“付属品”だと思って長年生きてきた人を今さらとがめたところで、「だから女は面倒くさい」と言われて終わり、というあきらめもありました。
お茶を飲む男性陣、膨大な事務作業をこなす女性陣
――相当フラストレーションがたまったのでは。
私は、父から「女より男の子がほしかった」と言われて育ったこともあり、自己肯定感が非常に低い。自民党は一般的な日本社会からさらに20年くらい遅れた男社会ですが、そこに自分なんかが入れていただけてありがたい、女だからということで迷惑をかけてはいけないと、“過剰順応”していったのだと思います。
周りの女性議員からも、自民党の男性優位な体質への不満は聞いたことはありません。そんなことに文句を言うより国のために頑張るべき、という感じだったと思います。
選挙のとき、自民党支持者の男性陣は選挙事務所で「頑張れよー」と言いながらお茶を飲み、その横で女性陣がポスターの証紙貼りなど膨大な事務作業をして下さっていました。地方でも永田町でも女性は従属的な立場に置かれ、みながそれを当たり前だと思っている。自民党の根深い構造的問題です。
――「選択的夫婦別姓」など、女性に関わる課題について、声高に反対する女性議員たちがいます。そういった姿を、男性的な価値観に同調する“名誉男性”だとする見方もありますが、どう捉えていますか。
興味深いことに、自民党内で選択的夫婦別姓について先陣を切って反対するのは、男性ではなく女性です。部会などで強く主張する先輩女性議員たちを見ると、若手は遠慮して何も言えなくなってしまう。ただ、先輩たちは男性に同調しているというより、ご自身の思想信条や、いわゆる岩盤保守層への配慮があるのではないかと思います。