元衆議院議員の豊田真由子さん(写真映像部・上田泰世撮影)
元衆議院議員の豊田真由子さん(写真映像部・上田泰世撮影)

 大変なのは公募に受かった後です。最初は地元政界のおじさんたちにいびり倒されました。その地の有力者を差し置いて、何の後ろ盾もない落下傘候補の若い女が公認を取ったわけですから、殺したいほど憎いのは当然です。

 首長や地方議員の方には無視されました。とある地元有力者には「応援してもらいたかったら金持ってこいや」と言われ、丁重にお断りしたところ、「この支部では応援しない」となり、嫌がらせを受け続けました。

 地元の支援がないどころか、事務所もない、知り合いもスタッフもいない、完全な泡沫候補でひとりぼっちのスタート。でも毎朝駅に立ち、家やお店を一軒一軒回り、ど根性で頑張りました。崖やフェンスをよじ登りながら、自分で約2千枚のポスターを貼っているうちに、「あのピンクのポスターを貼ってるのは、本人じゃない?」なんて地元で話題になったりして。自民党の方をふくめ協力や応援をしてくれる人が日に日に増え、当選することができました。

「女はわきまえていろ」という本音

――女性候補であることはデメリットでしたか。

 一般論として、女性候補のほうが印象が良いといわれることもあり、その意味ではメリットもあったでしょう。一方で、女だからと軽んじられる、あるいは抱きつかれるなどの、いわゆる“票ハラ”(女性候補者が男性有権者から受けるハラスメント)も当然ありました。ただ、国民のための政治を実現するという大義のためには我慢しなければと思っていました。

――当選後、女性議員として自民党本部に感じたことは。

 本音としては、「女なんかに政治ができるか」「女はわきまえていろ」という思いがあるんだろうなと、強く感じました。党大会などで集合写真を撮るとき、「女性陣、総裁を囲んで」なんて号令がかかるのは、女性が添え物だと見られている象徴的な場面です。

 女性議員たちは政界に入った瞬間、ここで生きていくためにはどう振る舞わなければいけないかを悟ります。仕事は一生懸命やって成果を出しつつ、でも決して男性を脅かすことなく、“女性らしさ”も必要とされる。自分に求められていることを敏感に感じ取り、対応しようとしていたと思います。

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