
「疲れているのに眠れない」「なんだかイライラする」「理由もなく不安になる」──そんな心と体の不調の背景には、ホルモンの働きが影響しているかもしれません。子育てにも思春期にも、そして更年期にも深く関わる「ホルモン」という仕組みを理解することで、自分や家族にもっとやさしくなれる――そう語るのは今夏、70歳を迎えたアグネス・チャンさんです。アグネスさんの新刊『ひなげしはなぜ枯れない 心も体もしなやかでいるための45のヒント』から一部抜粋・編集してお届けします。
【写真】70歳になったアグネス・チャンさんが目指すのは「“ハッピーホルモン”いっぱいのおばあちゃん」
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私は昔から、心や体のゆらぎの背景にホルモンの働きがあることに注目していました。例えば、大切な人との会話やスキンシップ。体を動かすことはハッピーホルモンを出すことにとても有効です。
私は3人の子どもの子育ての真っ最中、仕事で疲れて帰ったときは真っ先に子どもたちをぎゅっと抱きしめ、たくさんキスをしていました(私はこれを「キスの雨」と呼んでいました)。
その柔らかくて温かな肌に触れているうちに、不思議とエネルギーが湧いてきたんです。

これは、愛情や温かなスキンシップを通して、オキシトシンというハッピーホルモンが分泌されていたから。ハッピーホルモンの力を、私は子育て中も大いに味方につけていました。
疲れているときってテレビをぼんやり眺めていても、なんだかモヤモヤが晴れないことがありますよね。
家の中がうまくまわりだす
だけどハッピーホルモンが出れば、「さあご飯を作ろう」とか「家の片づけをしよう」という気持ちにもなって、家の中の状況がうまくまわりだすんです。
ハッピーホルモンが体中にみなぎっていれば、どんなに忙しくてもぐっすり眠れますし、イライラしません。
一方で、「コルチゾール」などのストレスホルモンが体内で優位になると、体は戦闘モードに入ります。血管が収縮し、体がこわばり、呼吸も浅くなり、気分はどんより。