
作詞家、ラジオパーソナリティー、コラムニストとして活躍するジェーン・スーさんによるAERA連載「ジェーン・スーの先日、お目に掛かりまして」をお届けします。
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ある日曜日のこと。普段は休日ながらその日は大忙しで、朝8時からラジオの生放送に2時間出演し、そのあと後楽園ホールでBASARAという設立6年になるインディープロレス団体の興行を観戦。終わったら大田区総合体育館に移動して、歴史あるメジャー団体、全日本プロレスの興行を観戦するスケジュール。間に余裕がなくバタバタでしたが、どちらも大満足でした。
子どもの頃からエンターテインメントが大好きで、自らも新卒でレコード会社に入社し、そこからなんやかんやエンタメ業界で仕事をしてきました。のちに演者側に回ることになるとは思いもしませんでしたが、スタッフ側で仕事をした経験が役立っているのは言うまでもありません。
演劇、スポーツ、音楽、映画などの種類にかかわらず、エンタメビジネスは喜びや感動、刺激や高揚などを提供し、人様から時間とお金をいただく商売です。広義で言えば、ディズニーランドなどもエンタメビジネスだと私は捉えています。時間とお金と、心の揺さぶりを交換する商売。
世に多くのエンタメビジネスがあり、提供するコンテンツが魅力的で、貴重な時間・お金と交換したいと判断するお客さんの数が経費に見合っていれば成功。規模の大小は本質的には無関係です。
私はエンタメ業界で宣伝業務に携わっていました。知ってもらうことが如何に大切か身に染みるほど理解しています。コンテンツのクオリティーが不十分なら、それを売りにして広める手法すら理解しています。解釈とプレゼンで、どうにでもなると言えばなる。