
巣が小さいということは、働きバチの数が少なく、子育てが順調ではないということだ。清水さんは6月下旬以降の「猛暑が影響しているのではないか」と、推測する。
巣の中の温度が上がりすぎると、幼虫やさなぎが死んでしまう。働きバチは口に水を含んで巣に運び、内部の壁にかける。蒸発するときに温度が下がるからだ。
「今年は水運びに忙しくて、十分なエサを集められず、幼虫の成長が遅れているか、巣を増築するのに割く時間がないのかもしれません」
巣が小さくても、巣を守るスズメバチはいる。十分な注意が必要だろう。

むやみに刺すことはない
ただし、スズメバチはむやみに人を襲うわけではない。
「働きバチは朝から夕方まで、幼虫のためにエサを運ぶことに一生懸命です。無駄な労力を使って、人を刺すようなことはしません」
スズメバチが最も好むエサはチョウやガの幼虫だが、草花の蜜も好物だという。アレチウリやヤブガラシといったつる性の植物が盛大に花を咲かせると、群れでやってくる。
「よく『スズメバチが飛んでくるので駆除してほしい』と相談を受けますが、こちらから刺激しない限り刺さないので、基本は、放っておいて問題はないと伝えています」
気になるのなら、エサをなくすことだという。毛虫が原因なら毛虫を駆除する。花が原因なら、その草を抜くか、根元を切る。
「そうすれば、もうスズメバチは飛んでこないはずです」
例年、スズメバチの巣の撤去依頼は5月ごろから増え始め、働きバチが活発に活動する7月から一気に増える。ピークは8~9月で、働きバチの多くが役割を終えて死ぬ11月まで駆除は続く。スズメバチと悪徳業者から家族を守るために、必要なことは知っておきたい。
(AERA編集部・米倉昭仁)
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