マンションは夫(55)名義で購入したが、ローンの管理は女性がした。

 10年固定で金利は年2.15%。その後、11年にネット銀行に借り換え、金利は10年固定で年1.65%に下がった。

 転機が訪れたのは、10年後の21年。金利タイプの再選択の時がきた。その際、夫は「5年固定」を提案したが、女性は「まだデフレがつづく」と考え、より金利が低い「3年固定」を選んだ。年0.85%という条件で、負担はさらに軽くなった。

 ここまではよかったが昨年3月、日銀がマイナス金利政策を解除した。かくして、固定期間が終わるタイミングで届いたのが、銀行からの封書だった。

「自分の知識が足りなかった」

「金利が上がっているのはわかっていました。だけど、倍になるとは想像していませんでした」

 同封されていた通知には、金利を年0.85%から年1.7%へと引き上げる、と記されていたのだ。

 これまで女性は何度か繰り上げ返済を行っていたので、住宅ローンの完済予定は27年。夫の言う通り「5年固定」を選んでいれば、同じ金利のまま返済できたはずだった。

 金利上昇により、月々の支払い額は870円増えた。金額は大きくないが、女性は後悔を滲ませる。

お金よりも、自分の知識が足りなかったのが悔しいです」

 そもそも最初に住宅ローンを組んだ時も、提携銀行に言われるがまま、最初の8年間は高い金利を払わされたからだ。自戒の念を込め言う。

「契約内容をしっかり確認し、その時その時に上手に対応すれば、住宅ローンも怖くないと思います」

 住宅ローンは「借りたら終わり」ではない。借りてからが本当のスタートだ。

(AERA編集部・野村昌二)

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