写真映像部・新崎美菜子
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「来る時が来た感じでした。でも、かなり想定外でしたね」

【シミュレーション】変動金利が上がったら返済額は? 返済額を計算した

 都内に住むフリーランスの雑誌編集者の男性(47)は、頭を抱える。

 昨年8月、男性は都内に築45年の中古マンションを購入した。それまで住んでいた都内の賃貸マンションが老朽化で取り壊しになるので、立ち退かなければいけなくなったからだった。

 当時の家賃は月16万円。を飼っているため、「ペット可」の賃貸物件にすると家賃が1.5倍くらいに跳ね上がることがわかった。だったらいっそ買ったほうがいいと考え、マンション購入を決めた。

 購入価格は4200万円。500万円を頭金に充て、残り3700万円を、返済期間30年の住宅ローンとして銀行から借り入れた。

「ついに来た」

 住宅ローンには、金利がずっと一定の「固定型」と、市場の動向に応じて金利が変わる「変動型」の2種類ある。固定型は将来の金利上昇のリスクを回避できるメリットがあるが、変動型より金利が高めに設定される傾向がある。

 昨年8月、男性が住宅ローンを組んだ際、固定型の金利は年約2.5%、変動型は年1.4%。少しでも月々の負担を軽くしたいと考えた男性は、変動型を選んだ。

 ローン返済は月12万円。管理費や修繕積立金などを含めると、住居関連の出費は合計で約16万円。賃貸時代とほぼ同額に収まった。

 ただ、不安はあった。

 マンションを購入する5カ月前の昨年3月、日本銀行は17年ぶりにマイナス金利を解除し、政策金利を年0~0.1%程度に引き上げた。同年7月には追加利上げを行い、政策金利を年0.25%程度に誘導することを決定した――。

 男性は、こうした日銀の金融政策の変更が、住宅ローン金利にも影響を与えるとわかっていた。今年6月下旬に、銀行から金利値上げの通知が来た時は「ついに来た」と思った。

「でも、上がってもせいぜい0.2%くらいだろうと考えていました。それがこの7月から、まさかの0.4%アップでした」

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