金利は年1.8%になり、返済額は月8千円増えて12万8千円になった。
「年間にすると10万近く増えるわけです。これが30年続くと、300万円ですから」
今後、金利はさらに上昇する可能性がある。妻(43)は節約のため、大型スーパーなどでまとめ買いをするようになった。男性自身も、週3回の飲みを週2回に減らし、続けている株などの投資に一層力を入れるつもりだという。さらに、金利が低いローンへの借り換えも検討している。だけど、こう言う。
「このまま金利が上がり続けたら、さすがに危ないですね」
日本の住宅ローンは、これまで超低金利時代が長く続いた。変動金利は年0.3〜0.4%台。固定金利でも1~1.5%前後だった。実際、超低金利時代に住宅を購入した人の多くが、その恩恵を受けてきた。
「完済したのでラッキーでした」
AERAがネットで行った「住宅ローンアンケート」でも、超低金利のメリットを実感したという人がたくさんいた。
「金利が上がり始めた今年の2月に完済したのでラッキーでした」(58歳、女性)
「返済期間の25年間、金利が安い期間で負担が少なくてよかった、賃貸より安心だった」(68歳、男性)
だが、日銀が昨年3月にマイナス金利政策を解除して以降、その潮流は大きく変わった。住宅ローンを抱える人たちとって、その仕組みや金利の動向を理解しておくことは、これまで以上に重要になってきている。
ただ、独立行政法人住宅金融支援機構が4月に行った「住宅ローン利用者の実態調査」で、「住宅ローンの金利リスクに関する理解度」を聞いた質問では「理解しているか少し不安」「よく理解していない」「全く理解していない」の合計が44.9~54.8%と、2人に1人は十分に理解しているとはいえないことがわかった。実際、知識不足を悔やむ声もある。
昨年12月下旬、都内のマンションに住む女性(54)は、銀行から届いた封書を前に、手が震えた。
「住宅ローンの金利がアップする知らせが入っていることは、わかっていました」
マンションを購入したのは03年。価格は約3800万円で、頭金として約770万円払い、残り約3030万円は35年の住宅ローンを組んだ。